理想に挙げるのが名古屋市だ。人口約230万人で、周辺に緑を挟んで豊田市や岡崎市など40万人前後の都市が点在する。比較的自立した社会を築いているという。地域が生き生きとすればコミュニティーの共助力が育まれ、緑に囲まれた集約型のコンパクトシティーは、延焼が広がりにくく、災害にも強くなると述べる。

「駅から離れて住む場合は、太陽光発電や井戸などで電気や水を自給自足しライフラインに依存しない『自立住宅』にすれば、災害時にも困ることはありません」(福和教授)

 そしてコロナ禍の今こそ、東京一極集中を是正するチャンスだと語る。

「テレワークが浸透し、地方に住みながら東京の会社で働くことも可能になりました。移住する若者も増えるなど、人々の価値観が変わりつつあります。地域の魅力をどう高めるかといった課題はありますが、巨大災害に対処する道筋を作り上げていく時ではないでしょうか」

(編集部・野村昌二)

AERA 2021年10月25日号より抜粋

著者プロフィールを見る
野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

野村昌二の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
台風、南海トラフ地震、…ライフライン復旧まで備える非常食の売れ筋ランキング