「優勝間違いなしという雰囲気で浮き足立ったような部分も見え始めた。7月上旬から本塁打を放った選手にメダルをかけるようになった。良い雰囲気がそうさせたのもわかるが他球団からすると面白くないはず。また夏前には優勝を見越した特集雑誌まで発売された。企画が持ち込まれた際に営業担当者などノリノリだったと聞きましたが、時期が早過ぎましたね……」(阪神担当記者)

 一方、ヤクルトは堅実な戦いを続け、終盤に一気に抜け出した。序盤戦から貯金の数は大きくは伸びなかったものの、5割以上をキープ。そして勝負どころの9月に13試合連続負けなしで10年ぶりの9連勝を記録し、10月にも7連勝と白星を重ねた。2年前の19年には球団ワースト16連敗を喫したチームとは思えないような強さと安定感があった。

「我慢しながら勝ち星を積み重ねてきた。核となる中心選手は固定、若手などは個々の調子によって使い分けパフォーマンスを発揮させた。ローテーションに定着した奥川恭伸をはじめ、経験を積んだ若手が自信を持ってプレーするようになりシーズン中に地力が上がった感じがある。高津臣吾監督の采配はもちろんモチベーターとしての手腕も光っています」(ヤクルト担当記者)

 投手陣では将来のエース候補と期待されていた奥川がプロ2年目で開花。田口麗斗など他球団からの移籍組も持ち味を発揮した。野手ではシーズン途中から1番打者に定着した塩見泰隆がサイクル安打を放つなど大ブレーク。そして高津監督の存在が大きいのは言うまでもない。適材適所での選手起用は監督2年目とは思えないほど。グッズが作られるほど話題になった「絶対大丈夫」という発言をはじめ、数々の“言葉”を駆使し選手の気持ちを高めた。

「チームが強いと考えず常に謙虚にプレーしていた。青木宣親、村上宗隆、山田などNPBを代表するスター選手が率先して声を出してチームプレーをする。当然若い選手は必死にやらないといけないので伸びるはずです。他球団が上だが『負けない』という思いで必死にやってきた。シーズンに入り互角に戦えることで自信も出てきた。反骨心と謙虚さがヤクルトを1つにまとめて今があると思う」(ヤクルト担当記者)

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残りの試合でどんなドラマがあるのか?