10年、20年先には「皇族だって自由でいいじゃない」という国民は増えてくるだろう。皇族側からの「私」の部分を制約された人生は納得いかないという抵抗も、決してありえない話ではないと山下さんは言う。

「眞子内親王殿下の結婚相手が云々、は小さな問題なんです。30年、50年先を見据え、『天皇や皇族の公と私』『皇室と国民との関係』を、国も私たちも、大きな問題として考えていくべきです。今回の件はそのいい教訓になる、と位置付けています」

成城大学教授で『天皇家の財布』などの著書もある森暢平さん(57)は皇室の未来に、強い危機感を語る。

眞子さまを『私を優先している』などと批判する人たちが求めている『理想の皇室』は、現実には存在しません。天皇・皇族は生身の人間ですから」

■一人の人間として

 現実の皇族には意思もあれば、世間が認めにくい結婚を望むこともある。それらを含めての皇室であると理解し、その「私」の部分をきちんと確保してあげたうえで、「公」の仕事をしてもらう。そうでないと「最悪の場合、消滅する可能性が出てくる」と森さんは言う。

「たとえば、このまま皇室が変わらなければ将来、悠仁さまの配偶者が見つからないというリスクが出てくる。危機感を持つべきなのです。しかし、宮内庁もバッシングした人も、何も学ぼうとしていない。私は『眞子さま問題』は、皇室の終わりが見えてしまった『大事件』だったと思っています」

 26日、眞子さまは小室さんと共に結婚会見にのぞむ。前出の香山さんはこう期待する。

「一人の人間として、どんなふうに自分らしく人生を歩み、本当の意味での自己実現をしていきたいか。ニューヨークでどんなふうに新生活に一歩踏み出したいか。そんなお話を、ぜひ聞けたらと思いますね」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年11月1日号より抜粋

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