婚約内定会見から4年間、議論を呼び続けた秋篠宮家の長女・眞子さま(30)と小室圭さん(30)の結婚。眞子さまの決断に、皇族なのに「公」より「私」を優先するのかという批判も出た。皇室の公私についてどう考えるべきなのか。「眞子さまの結婚」を特集したAERA 2021年11月1日号の記事を紹介。
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ネットの時代、皇族といえども世間から遮断された中で生きているわけではない。自分たちがいかに制限された中で育っているかを、眞子さまは早くから意識されていたのでは、と精神科医の香山リカさん(61)は言う。
「最も古くて強い『家』である皇室というシステムに対し、自分はそこにいてどうしたいか。むしろ私たち以上に、眞子さまは自覚的に生きてこられたんじゃないかと思います」
自覚的に年を重ね、決断した眞子さま。そんな姿に「皇族なのに『公』より『私』を優先している」という批判も出た。このことは、私たちと皇室との関係にどんな「宿題」を投げかけたのだろうか。
「皇室の『公と私の線引き』については、いまの皇室制度になってから約70年、ずっと矛盾をはらんでここまで来た。簡単な問題ではありません」
そう話すのは皇室ジャーナリストの山下晋司さん(64)だ。
■天皇や皇族の公と私
「象徴天皇制度では、天皇や皇族の人格もとても大事です。信頼も敬愛もできない人を通して国民は国を感じられませんから。ただ、憲法や法律で人間性に触れているわけでもなく、名実ともにそこを成就させようと思えば、天皇や皇族の使命感や責任感に頼っていくしかないという矛盾が、ずっとありました」
公務をする姿を見て国民が「ありがたい」と思ったり尊敬したりして、日本の国を感じる。そこには国民の支持というものがあり、それがまた天皇や皇族のモチベーションにもなっていると、山下さんは言う。
「その使命感や責任感に頼っていくしかない天皇や皇族から、私的な部分も尊重してほしいという声が出てきたとしたら、国民はそれをどう理解するか。国民の意識と皇室内の方々の気持ちとが一致すればいい。しかし、そこにズレが生じているのが、まさにいまの状況です」