新天地で自分を試したいとは、ヘンリー王子の希望だった。そうしたときにメーガンさんと出会った。米国の「自由」を身にまとうメーガンさんに一目で引かれた。欲しいものをそこに見つけたのだ。メーガンさんについていけば、本当の自分に出会えるかもしれない。王室離脱は、王室とはしょせん合わなかったメーガンさんが動いたことに間違いないが、王子はメーガンさんとなら、新しい自分に変われると信じたのだ。
眞子さまにも似たようなことが言えないだろうか。
■眞子さまこそ推進役
当初は、国民は小室さんを歓迎した。お二人が同じ大学の出身であることも、ご両親と同じであると好意的に見られた。婚約内定会見でお二人は仲睦まじく見つめ合って、幸せそうだった。それが、小室さんの母親が受け取った計約400万円が、「借金」と「贈与」の間で揺れ始め、その後は次々にトラブルが指摘された。小室さんが留学先の米国でまとめた説明文書はA4用紙28ページに及び、今度は「やりすぎ」と批判された。
小室さんとメーガンさんはともに「野心家」とのレッテルを貼られ、ロイヤルに意識的に近づき、肩書、名声、財産などを狙ったと指弾されるようになった。眞子さまは深窓の令嬢で、小室さんに騙されているとの見方もあった。しかし、次第に眞子さまも積極的に動いていることが分かった。「結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択」と言い切った。和歌を詠めば、小室さんへの愛情が離れていても何ら変わりがないことを訴えていると解説された。納采の儀などを行わず一時金受け取りを辞退するのは、眞子さまの意向とも言われている。眞子さまこそ、この恋愛の推進役であることが見えてきた。
ヘンリー王子と眞子さまには、「ロイヤルの縛りから解き放たれたい」という強い希望がある。ロイヤルは生まれながらにして身分が決まり、そこから出ることはまずできない。働かずに暮らせる恵まれた立場との捉え方もむろんあるが、勝手に出ていく自由は基本的にない。
一般社会でこれだけ人権意識が高まり、個の尊重が叫ばれるなか、「ロイヤルは例外」とは言いにくくなってきたのではないか。ヘンリー王子と眞子さまは今は「わがまま」「裏切り者」などとみなされても、将来は当たり前の選択の一つになっているかもしれない。(ジャーナリスト・多賀幹子)
※AERA 2021年11月1日号の特集「眞子さま結婚 批判の深層」より抜粋
※敬称は取材時のものです