「野党共闘は野党第1党の立憲のためのものではない。共産が勝利してこその野党共闘だ」
一方、「大臣経験者」でも野党共闘で安泰ではいられない選挙区がある。その一つが東京8区だ。国土交通相や環境相などを務めた石原伸晃氏が8期連続守ってきた地盤だ。そこに野党統一候補を巡り、れいわ新選組の山本太郎氏が出馬表明したが、急きょ撤回して注目を集めた。
19日午後、JR阿佐ケ谷駅前で、立憲民主の枝野幸男代表が新人・吉田晴美氏の出陣式で開口一番、謝罪した。
「直前に様々なことがあって大変なご心配とご苦労をおかけした」「東京での第一声、皆さんにおわびとお礼を申し上げなくてはならない。そんな思いでこちらに駆けつけた」
地元の市民団体関係者は騒動の真相をこう話す。
「当初は立憲、共産、れいわから3人が出馬する予定だったから、各党に候補者を一本化できないか話していた。それが急に、山本氏が立候補を表明した。地元への調整がないまま、トップダウンで決められた」
結果的には野党共闘につながった。吉田氏は第一声で「違う政党が集まって『どうなんだ』という声もある。でも、他の人から学ぶこともある。違いの力、多様性の力で勝ち抜いていく」と訴えた。立候補を予定していた共産の男性も、ビラ配りを手伝っていた。
前回の衆院選では、吉田氏と石原氏の差は約2万3千票。共産を加えると約1千票差に迫る。
「今回の選挙が一番厳しい選挙だ」
杉並区役所前であった石原氏の出陣式では、選挙カーに登壇した関係者が口々に危機を訴えた。石原氏の演説の直前には、通行人の女性からヤジが飛ぶハプニングもあった。女性が通り過ぎた後、石原氏は批判の矛先を野党に向けた。
「演説が始まる前に文句をつけられたのは初めて。先ほどの女性のように、自分の主張と相いれない者は排除するのが当たり前と思っている人が、政権だけ取ろうとやってきた」
■緊急事態の飲食で苦戦
野党共闘に加え「不祥事」が響く候補者もいる。神奈川1区の松本純氏だ。衆院7期のベテランで国家公安委員長などを歴任。その松本氏に、過去2回比例で復活当選してきた立憲民主の篠原豪氏、日本維新の会の新人・浅川義治氏が挑む。