つまり、給料は増えないのに消費税とマンション価格は上昇しているのだ。郊外で子どもを育てるファミリーのほとんどは可処分所得を減らしている。値上がりしたマンションは欲しくても買えない状態だ。
高くなっても買う人がいる都心や近郊では、マンションがどんどん値上がりしていく。しかし、買うにも買えない普通の人々が暮らす郊外では販売不振。これが今の首都圏のマンション市場の現実である。
景気対策で潤沢に供給されたマネーは、今も都心の不動産バブルを膨らませている。これは景気の悪化や、緩み切った金融の引き締めでも起こらない限り終わらないだろう。
しかし、「住むため」にマンションを買う人が市場の主役である郊外では、時間が経過するとともに値引きや値下げで価格を調整せざるを得ない。
そして、やがてはマンション市場にも「コロナ後」がやってくる。供給されたマネーは徐々に回収されるだろう。また、アメリカの金利上昇は、日本の市中金利にも影響すると思われる。
そうなれば2013年以来続いてきたマンション価格の上昇も、いよいよ終わりを告げるかもしれない。(住宅ジャーナリスト・榊淳司)