そして、何よりも違和感があったのは、天皇皇后両陛下に感謝の気持ちが述べられなかったことだ。令和新時代に儀式を行わないという戦後初めての結婚騒動は、皇室への敬意を失わせたものでもあった。皇室に対してやご両親である秋篠宮皇嗣同妃両殿下への感謝の言葉を期待したが、それもなかった。
私人として「私と一緒に仕事をしてくださった方々」「私に温かい気持ちを向けてくださったすべての方々」と感謝の意を示されたが、「方々」という言葉の中に両陛下や秋篠宮両殿下が一括りにされてしまったかのようで、残念に思った人も少なくないのではないか。
私人となれば、この先出会うのは、応援してくれる人ばかりではない。自由に見えた世界もまた、偏見や差別、認識の相違などの困難が待ち構えているはずだ。
10月26日、秋篠宮邸から眞子さんに最後のお見送りをされた両殿下は、笑顔だったがどこか寂しそうにも見えるご表情だった。
※週刊朝日 2021年11月12日号