——期間中、テレビから嵐が歌う「カイト」が流れ続けたことも癒やしとなった。
櫻井:それ自体がうれしかったですし、歓喜の瞬間にも、悔しくて涙する瞬間にも寄り添える、いい楽曲だなと改めて思いました。
我々が嵐として活動していなくても、音楽は生き続けるんだなとも思った。これから公開されるライブ映画は、2年前のコンサートなんですけど、あのときのみんなの熱気、我々の思いが真空パックのように閉じ込められている。時の流れを感じずに楽しんでいただける作品になったんじゃないかなと思います。
音楽って、聴くと記憶がフラッシュバックしますよね。皆さんが持っている嵐の記憶と重ね合わせながら、それぞれの「あの日」を思い出してもらえたらうれしいです。
——今、「未来」という言葉から連想することは何だろうか。
櫻井:数年前に友達のおじいちゃんのお葬式に行ったんです。アーティストの方だったんですけど、すごく楽しい雰囲気で、お葬式の最後はスタンディングオベーションで終わったんです。それが本当にすてきだった。だから、僕もそんなお葬式がしたい(笑)。亡くなったとき、「悲しいね、寂しいね」ではなくて「良かったね」と拍手を送ってもらえるような人生を送りたい。どう生きればそうなるのかわからないけど、やっぱり目の前のことに全力で取り組んでいくことなんでしょうね。僕と、目の前の人たちが笑っていられるために。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2021年11月8日号