モデルナ製の新型コロナウイルスのワクチン (c)朝日新聞社
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 緊急事態宣言が明け、街はにぎわいを取り戻した。だが、気を緩めてはいけない。年明けにも襲来が予測されるコロナ「第6波」は、対策を誤れば「第5波」を超える脅威になる可能性があるのだ。

【「第6波」による東京都の新規陽性者数のシミュレーションはこちら】

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「緊急事態宣言中はこの辺もガラガラだったけど、最近は昔みたいに人がたくさん。今のうちにたくさんお客さんを見つけて稼がないとね」

 11月3日、文化の日。秋葉原のメインストリート、中央通りで客引きをするメイドカフェ勤務の女性(21)はそう言って小さくガッツポーズした。

 彼女の言うとおり、休日の秋葉原は人でごった返していた。セール中の中古パソコン店前には行列ができ、アニメグッズ店からは次々と買い物を済ませた客が出てくる。ひと休みしようと覗いた喫茶店も満席だった。

 秋葉原に限らず、街は活気を取り戻している。時短制限が解除された新橋や銀座などの飲み屋街は休前日になると人だかりができ、休日の箱根や日光、川越などの観光地も渋滞ができるほど混雑した。それなのに小池百合子東京都知事があれほど心配していたリバウンドは、緊急事態宣言解除後1カ月を過ぎたが起きていないようだ。11月5日の東京都の新規感染者数は、金曜日にもかかわらず25人。翌6日も29人で、10日間連続で30人を下回っている。

 ナビタスクリニック理事長の久住英二医師は「このところ本当に感染者は出ていません。当院では熱が出た患者さんは念のため検査していますが、みなさん陰性。ずっと陽性者数はゼロ行進が続いています」と話す。

 なぜ感染者数が激減しているのか。国立遺伝学研究所と新潟大学の研究チームは10月末に、「ウイルスに起きる変異を修復する酵素『nsp14』が変化し、変異の修復が追い付かなくなり、変異が蓄積することで死滅した可能性がある」との研究をまとめた。つまり「ウイルス自滅説」だ。事実だとしたらありがたい限りである。

 だが、久住医師は「まだ仮説にすぎない」と指摘する。

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