候補者選びにその党の姿勢が表れる。もちろん、立憲民主党には実力もあり地道に頑張ってきた女性議員や候補者はいる。それでも、代表戦にすぐ名があがるリーダー格の女性、ベテラン議員女性は育てられなかった。なにより、立憲の代表選に現在のことろ女性が1人も出ない可能性があるという現実が、多くを物語っているだろう。自民党は「多様性」を演出した総裁選を繰り広げたが、そんなパフォーマンスをしないにしても、ジェンダー平等を掲げる党が女性リーダーを一人も出せないような状況であることに、どう、希望を見いだせるというのか。
吉村知事の何がいいの? と友人に聞くと、「ちょっとした勝ち組心を刺激される」と話していた。弁護士出身の多い立憲民主党のエリート層への苛立ちを抱える人たちも、同じ弁護士でも偉ぶらず、「ここについていったら、落ちることはない」と根拠のない安心を与えてくれて、プリンが好き、とキラキラ笑う40代のイケメンがいいのだ。ジェンダーとかよりも、笑いながらスイーツ食べて、空虚な改革論を聞いているほうが安心できる空気がここにあるということなのだろう。
立憲民主党の立て直し方について、様々な意見が飛び交っているが、自民党的でもなく、維新的でもない立憲らしさ、というのはいったい何だったのか。2017年に見せてくれた希望の原点に立ちながら、今度こそ、人口のもう半分を占める側の視点に立ってほしい。
■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表