もちろん、そういう熱狂は男性政治家だけにむけられるわけではなく、小池百合子都知事の最初の選挙の時も、百合子カラーのグリーンを身にまとい、野菜をもって選挙活動に熱狂する女性たちが旋風を巻き起こした。選挙とは、熱狂させた者、ワクワクさせた者が圧倒的に強いのだ。

 それにしても立憲はなぜ、ワクワクや希望を伝えられないのだろう。モフモフの熱狂はいつ消えてしまったのだろう。

枝野幸男氏(c)朝日新聞社
枝野幸男氏(c)朝日新聞社

 個人的には、2019年の参議院選にワクワクできなかったことは、かなり大きな要因だったのではないかと考える。「ジェンダー平等」など主流の政策にはならないとして、それを長年後回しにしてきた自民党社会に苦しんできた人は決して少数ではない。「女性活躍」はうたうが、生理用品を買うくらいならパンを買うという貧困に陥る女性が増え続けている。支援が必要な人に、自力で闘え、そのための戦場は用意してやる、というような自民政治の対抗軸に、立憲民主党はなれなかった。

 2019年の参院選で、立憲民主党は女性候補者の擁立に力を入れていた。動画を丁寧につくり、うつくしいイメージ映像を頻繁にSNSで流した。大手広告会社を投入したようなイメージ戦略のなかで、女性候補者は自然のなか、そよ風に吹かれているような爽やかさで、フレッシュさをアピールしていた。私はあれで、かなり女性有権者の票を逃したのではないかと思う。2019年夏に書いた原稿に、私はこう記している。20代の女性たちの発言をまとめたものだ。

<立憲はオジサン色が強すぎて気持ち悪いです。元アナウンサーとか元アイドルとか元ホステスとか、オジサン目線すぎます。『筆談ホステス』の人のタスキに『筆談ホステス』って書かれているのにも驚きました。フツーに『斉藤里恵・前区議』でいいじゃないですか。それに何故、女性候補者の人、みんな白いスーツを着てるんですか。蓮舫さん目指してるんですか? みんな同じに見えます」
 それでも立憲は女性候補者を多く立てて頑張ろうとはしたよね、と言えば、だから何?な調子でこう言う人もいた。
「枝野さんて、AKB好きなんですよね。プロデューサー目線で女性候補者選んでいるんじゃないですか?」
 さんざんなのだった。>(週刊朝日 2019年8月30日号)

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