中日の又吉克樹(c)朝日新聞社
中日の又吉克樹(c)朝日新聞社

 FA権の行使が注目されていたDeNA・宮崎敏郎が6年契約で残留することが発表された。広島のエース・大瀬良大地、今季自身初の最多勝を獲得した九里亜蓮、阪神の正捕手・梅野隆太郎らもFAの去就が注目される中、「FAしたら複数球団の争奪戦になる。一番人気ではないか」と球界内で囁かれているのが、中日のセットアッパー・又吉克樹だ。

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 プロ8年目の又吉克樹はリーグトップの今季66試合登板で3勝2敗8セーブ33ホールド8セーブ、防御率1.28。失点した登板は7試合のみで、抜群の安定感が際立った。入団1年目から3年連続60試合以上登板するなど、大きな故障もなく救援の屋台骨を長年支えてきた。三振奪取率が高く、ピンチを背負っても動じない。マウンド上ではクールな振る舞いで喜怒哀楽を出さないが、チーム内で人望は厚い。自身のツイッターで選手や球団の情報を積極的に発信し、中日ファンからは「又吉広報部長」の愛称で親しまれている。

「左打者を苦にしないことが大きな強みです。右のサイドスローは左打者から腕の出所が見やすいため相性が悪いケースが多いのですが、又吉は違う。左打者の懐を突くカットボール、縦に落ちる軌道のチェンジアップで手玉に取る。以前は直球、スライダー、シュートと横の揺さぶりで勝負していましたが、今年から本格的に投げ始めたチェンジアップで縦の変化も使えるようになり、打者は攻略が一段と難しくなっている。制球力も良いため四球の心配がない。今年はライデル・マルティネスが不在の時に抑えを務めた時もありました。どこのポジションでもきっちり役割を果たすので、首脳陣にとってこれほど心強い存在はいないでしょう」(他球団のスコアラー)

 データにも反映されている。今季の被打率は右打者が.182に対して、左打者は.245。他球団のセットアッパーと比べると、その凄さが分かる。今季日本新記録のシーズン50ホールドを挙げているヤクルト・清水昇が防御率2.39、侍ジャパンの一員で東京五輪の記念メダル獲得に貢献した阪神・岩崎優は防御率2.65。又吉の防御率1.28はこの2投手より防御率が1点以上低い。

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