◆「長編小説を書く」 創作意欲衰えず

 寂聴さんは、「書くことは私にとって最高の快楽」と話していた。その言葉どおり、生涯で400冊以上の本を出版し、10月に体調を崩すまで執筆活動を続け、時には徹夜をすることもあった。寂聴さんが生まれた1922年は、週刊朝日が創刊された年でもある。創刊99周年となる今年2月26日号のインタビューでは表紙を飾り、衰えることのない創作活動について、こう話していた。

「死ぬまでにもう一本、長編小説を書きたいのよ」

 別の機会には、自らの死後についてこんなことも話していた。

「私の方が絶対みなさんよりも先に、あの世に行くでしょうから、向こうでこの世にメールが届くように運動します。いつになるかわからないけれど、『寂聴極楽メール』の着信をどうぞ楽しみに待っていて下さい」

 今ごろ寂聴さんは、過去に愛した人たちと一緒に、あちらでも忙しくしているのだろう。(本誌・西岡千史、大谷百合絵、菊地武顕、鈴木裕也、直木詩帆)

週刊朝日  2021年11月26日号より抜粋

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