■3本の「中身」の違いは? 

 S&P500、全米株式、米国高配当株式の3本の投信の中身はETFということで、それぞれのETFの10年間の推移を調査した。すると、値動きはほとんど同じだった。

 3本とも米国株が「モト」なので当然といえば当然なのだが、少しでも違いが知りたい。SBI証券マーケティング部の藤代竣介さんに違いを教わった。

「確かに3本のETFはほぼ同じ値動きですが、2020年3月のコロナ・ショック以降は、IT企業の株が勢いよく上昇。その恩恵を受けやすいS&P500のVOOや全米株式のVTIが、米国高配当株式のVYMを上回りました。

 しかし2021年の1年間だけで見ると、アフターコロナの経済再開を期待した相場で、高配当株式のVYMが一番好調でした」

■中身のETFを直接買えばよいのでは?

 米国ETFは個人でも購入可能で、この3本はSBI証券で買える。SBI・Vシリーズの投信で買うよりも、中身のETFを直接買ったほうが、投信の信託報酬にあたる「経費率」も低くなる。わざわざ投信の形にする意味は?

「VOO、VTI、VYMは分配金を年4回受け取れますが、分配金をそのまま再投資したいニーズがあります。ETFでこれを行うには、自分で新たに買い付けなければなりません。SBI・Vの投信なら自動的に再投資されますから、手間なしで複利運用ができます。

 また、ETFを買う前に円をドルに替える必要があり、ネット証券では1ドル当たり片道25銭(住信SBIネット銀行経由は4銭)の為替手数料がかかりますが、投信なら日本円で買えるので為替手数料も不要です」

 米国ETFで支払われる分配金には米国で10%、日本で20.315%と、合計で約30%(正確には28.2%)の税金がかかる。米国の課税分を取り戻すには外国税額控除の確定申告が必要だ。

「投信なら運用中の分配金の税金は米国分の10%だけ。税引き後の分配金は自動的に再投資されるので、さらに効率がアップします」

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