買うと決めてから、今の家に出会うまでの期間は約半年。子どもが小学校に上がる5年後のタイミングで資産価値が大きく下がらなければ、今の家を売却し、その資金を元手に、もう少し広い部屋に住み替えを検討しているという。
「売却時に実際いくらで売れるかはその時になってみないと分かりませんが、現状の周辺エリアの売却相場を見る限り、価値は維持できるだろうと踏んでいます」(Aさん)
今、Aさんのように、都市部を中心に、いずれ売却することを想定してマイホームを買う人が増えているという。たとえ「一生住み続けるつもり」で家を買ったとしても、人生100年時代と言われる中、自分を取り巻く状況がいつ変わり、何が起こるか分からない。先が見通しにくい時代だからこそ、リスクヘッジという意味でも、「いざとなれば家をお金に換えられる」買い方を望む人が増加している。
「今は家の選び方によって、その後の人生の明暗が変わってくる可能性があると言えるほど、物件選びが重要な時代です。選び方の知識がないと、後悔することになりかねません」
首都圏を中心に不動産の購入、売却など、これまで6千件を超える取引を行ってきた不動産コンサルタントの後藤一仁さんは、こう指摘する。
現在、首都圏の住宅購入において最も取引が活発なのは中古マンションだ。都心を中心に新築マンションの価格が高騰していることからも、中古マンションに目を向ける人が増えており、激しい争奪戦が繰り広げられているという。
マンショントレンド評論家の日下部理絵さんも、こう続ける。
「以前は新築信仰が強い傾向でしたが、今は中古に対する抵抗感を持つ人が少なく、ここ最近は築浅物件のみならず、都心にある築30~40年の古い物件もよく動いています。リノベーションの専門業者も増え、中古物件を自分好みにリノベーションして住みたいと考える人も増えています」
とはいえ都内、それも都心周辺に家を購入できるのは、高額所得者に限られるのではないか。