「成人ぜんそくで圧倒的に多いのが、まず素因としてアレルギー体質があり、風邪が引き金となって発症するケースです。疲れやストレス、気圧の変動、職場や住居の変化などが加わったときに、特に発症しやすくなります。つまり、発症の要因は複合的なのです」

 80代で発症するケースもあり、年代は幅広い。一般的には40代で発症する人が多い。

「社会的な制約が多く、仕事や家庭でストレスを抱えやすい世代といえます。成人ぜんそくは女性のほうがやや多いのですが、これは妊娠や出産によるホルモンバランスの崩れや子どもから風邪をうつされやすいといったことも要因になると考えられます」(放生医師)

 咳がぜんそくによるものかどうか、見極めるうえでのポイントとなるのが症状の「変動性」だ。

「夜寝る前や朝起きたときに痰がからんだような咳が出るのがぜんそくの典型的な症状です。重症化すると夜中に咳で目が覚めたり、一日中症状が出たりすることもありますが、基本的には一日の中でも症状の軽い重いといった変化、『日内変動』があり、日中は症状が出にくいという特徴があります」(同)

 時間帯に加え、場所や温度の変化に伴って症状が出るなど、環境によって変動するケースも。人によっては、台風が多い季節の変わり目、花粉が飛ぶ季節、寒い季節など、症状が出やすい時季があり、「年内変動」が表れることもある。

 日本では、ぜんそくの前段階は「咳ぜんそく」と呼ばれる。咳が8週間以上続いている状態だ。ぜんそくと違って喘鳴や呼吸困難は伴わない。だが、放置すると約3割がぜんそくに移行するといわれている。つまり、咳ぜんそくのうちに治療すれば、ぜんそくに移行するのを防げるのだ。

■花粉症によって咳が長引くことも

 しかし、医大前南4条内科院長の田中裕士医師は「咳が長引いたとしても、咳ぜんそくではない場合も多い」と話す。

「長引く咳の原因が、風邪を引いた後の感染後咳嗽や花粉によるアレルギー性鼻炎だった、という場合も多いのです」

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