芸人たちが互いに自分が組みたいと思う相手を指名していくため、そこには自然と疑似恋愛的な空気が生まれる。1人の芸人に人気が集中したり、同じ人に何回振られてもしつこくアタックする人がいたりする。そこで展開される人間模様を恋愛バラエティのように楽しむことができる。
その上で、後半では各コンビが披露するネタをじっくり味わえる。初期の頃は番組の顔であるダウンタウンの2人も参戦しており、松本人志と内村光良がコンビを組んでコントを披露したときには大きな話題になった。
また、『アメトーーク!』(テレビ朝日)で何度か行われている「芸人ドラフト会議」も似たような企画である。何人かの芸人が、自分がMCを務める架空の番組を作るという設定で、そこに出演するタレントを指名していく。この企画のポイントは、芸人以外のタレントも自由に指名できるということだ。芸人以外の人も含めて、バラエティタレントとしていま誰が評価されているのか、というのを知ることができる。
仮定の番組の企画ではあるが、お遊びの要素は少なく、それぞれの芸人が本気で自分が認めるメンバーを選んでいくため、プロ目線の評価がわかるところが面白い。
2021年3月25日の放送では、麒麟の川島明が渋谷凪咲を上位指名したことが話題になり、そこから渋谷がますます多くのバラエティ番組に出るようになった。本物のプロ野球のドラフト会議のように、ここで指名されることがタレント人生に影響を及ぼすようになっているのだ。
バラエティ番組で「ドラフト」系の企画が人気を博しているのは、人が人を選ぶということ自体に本質的な面白さがあるからなのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)