しかし、この記録も今季で終わってしまう可能性は高い。菊池雄星がマリナーズと選手側の双方が有するオプション権を破棄し、FAとして球団を去ることを決断したからだ。なお、マリナーズには、まだイチロー(会長付特別補佐兼インストラクター)がいるが、現役ではないためこの記録には含まれない。

 日本人選手不在で2022年のシーズンを迎えることは、マリナーズにとっても由々しき事態のようだ。同コラムを執筆したライアン・ディビッシュ記者は、前出のデュポットGMと11月のGM会議で交わした談話を、次のように紹介している。

「マリナーズは日本人選手なしでシーズンを迎えるつもりはない」

 デュポットGMが現地メディアにこう語るほど、マリナーズは日本人選手に対して、何か特別な想いを持っているようだ。ただ、現地では鈴木の年俸は、「4年総額6000万ドル(約68億円)になる可能性は十分にある」と噂されていたり、複数球団による争奪戦となることは明白であることから、マリナーズとってもその獲得は容易ではない。

 もっとも、マリナーズは11月28日に、サンディエゴ・パドレスから二塁手兼外野手のアダム・フレイジャーをトレードで獲得している。フレイジャーは加入の際、「外野にも挑戦したい」と語っていることから、外野で起用される可能性もある。そうなれば弱点と言われる外野陣の力も多少は向上されるため、鈴木を逃してもマリナーズにとって大きな痛手にはならないだろう。

 はたして、デュポットGMの言葉の通り、マリナーズは日本人選手(鈴木誠也)の獲得に全力を尽くすのか。はたまた、鈴木は他の球団が獲得することになるのか。ロックアウトで先の見えない状況ではあるが、鈴木のメジャー移籍を巡る動向には今後も目が離せない。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)

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