シアトルの地元メディアが、鈴木にこれだけの興味を示すのも、彼らにとってマリナーズの外野陣は、まだ安心できる状態にはないからである。現在、同球団の外野陣で頼りになるのはミッチ・ハニガーだけで、2020年の新人王であるカイル・ルイスや、トップ・プロスペクト(有望株)と言われたジェレッド・ケルニックも、シーズンを通しての活躍を未だ見せておらず、彼らはそこに強い懸念を持っているのである。

 そこに鈴木が加われば、メジャー1年目のイチローが活躍した2001年以来となるポストシーズン進出の可能性も高まることから、彼らは鈴木の獲得に大きな期待を寄せている。しかし、シアトルのメディアが鈴木に興味を持つ理由は他にもあるようだ。

 前出の『シアトル・タイムズ』は、11月20日に、「M’s(マリナーズ)は、鈴木誠也とともに日本人選手記録を続けるか?」というコラムで、同球団のある記録を紹介している。それは、日本人選手の連続在籍記録だ。

 マリナーズはメジャーの中でも、日本では特に馴染みのある球団だ。もちろん長年在籍したイチローの存在が大きいのだが、マリナーズに在籍した日本人選手はMLB全球団の中でも多く、その歴史も長い。

 マリナーズの日本人選手第一号は、マック鈴木の愛称で知られる鈴木誠だ。鈴木は1996年7月7日にメジャーデビューを果たしているが、マリナーズに在籍する日本人選手の連続記録はそこが始まりではない。というのも鈴木は、翌97年は、怪我によりメジャーの試合に出場していないからだ。

 同コラムでは、鈴木が再びマウンドに戻った98年をその記録の始まりとしている。そして、マリナーズに在籍した日本人選手を、その在籍年とともに以下のように紹介している。

 鈴木誠(1996年、1998~1999年)、佐々木主浩(2000~2003年)、イチロー(2001~2012年、2018~2019年)、長谷川滋利(2002~2005年)、木田優夫(2004~2005年)、城島健司(2006~2009年)、川崎宗則(2012年)、岩隈久志(2012~2017年)、青木宣親(2016年)、菊池雄星(2019~2021年)、平野佳寿(2020年)。

 この通り、マリナーズには、20年以上連続して日本人選手が在籍している。同コラムは、この記録が続いた理由について、2016年まで同球団のオーナーであった大手ゲーム企業である任天堂の米国法人、ニンテンドー・オブ・アメリカ(NOA)が影響を及ぼしていたと指摘している。現在は実業家のジョン・スタントン氏が同球団のオーナーを務めているが、NOAは今でも多少の影響力を持っているとも述べられている。

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