早川タケジ氏の作品集『JULIE by TAKEJI HAYAKAWA – 早川タケジによる沢田研二』が話題だ。同作品集はその名の通り、1973年以来、早川さんが衣装、アートディレクションを担当した沢田研二の写真を中心に、衣装ごとの解説や元になったデザイン画を一挙収録した2冊組、計512ページの豪華本。“奇跡”とも呼べるこの作品集について、早川氏と出版元のSLOGAN代表・熊谷朋哉氏に、シンガー・ソングライター、音楽評論家の中将タカノリ氏が聞いた。
この記事の写真をすべて見る美の鬼才、早川さんの世界観を余すところなくおさめるには数々の障壁があったのか、元々、昨冬に予定されていた発売日は何度も延期になり、今年6月25日に確定したかと思いきや直前になってまた延期。7月25日にようやく世に出るに至るという経緯があった。編集を担当したSLOGAN代表の熊谷さんは次のように話す。
「撮影当時と現代では撮影や印刷の手法が大きく変化しています。30年前、40年前に撮影されたポジフィルムをどのように現代のデジタルデータに変換するかが難題でした。ただデータ変換するのではなく、早川さんの作品集にふさわしいクオリティーに達するべく試行錯誤した結果の発売延期でした。ボリュームも予定より大幅に増えたいへんな労力がかかりましたが、作業する中で早川さんと沢田さんの作品たちがなぜ今も輝き続けるのか、あらためて理由がわかった気がします。当初に掲げたテーマは『類まれなメディアアーティストとしての早川さん、戦後ポップカルチャーのアイコンとしての沢田さんを振り返り、しっかりした形で後世に残す』というものでした。ずっとお待ちいただいた方たちには心苦しい面もありましたが、満足のいく仕上がりを追求できたという点で結果的に良かったと思っています」
早川さんや熊谷さんをはじめとするスタッフ達は歴史的な作品集の制作にどのような思いで取り組んだのだろうか。