中将:早川さんにとって沢田さんはどんな存在なのでしょうか?
早川:別の次元に生きてる存在……とでも言うんでしょうか。僕は洋楽のロックが好きだったから、お仕事の話をいただいた時も初めは「日本のロックなんて」と思っていたんですよ。でもそれが実際にステージを見た途端に吹き飛んだ。もちろん、アメリカやイギリスのロッカーたちとは違う魅力なんだけど、こんな人が日本にいたのかと驚きました。こんなに何十年も続く仕事になるとは思ってもみませんでしたが、文句も言わずにいろんなアイデアを受け入れて実現させてくれたことには感謝しています。
中将:今後取り組みたいと思っておられるお仕事についてお聞かせください。
早川:絵を描くことに専念したいので、去年のソロ活動50周年記念ライブを区切りに沢田さんのお仕事はいったんお休みさせてもらってるんです。沢田さんに関するものだけじゃなく、森英恵先生のオートクチュールのポスターやクリスチャン・ディオールの広告に使った絵、油絵などを幅広く収録した画集を出したいと思っていて、今はその作業に没頭しています。仕事という気分じゃなくて表現とでも言うんでしょうか。誰かに注文つけられて描いたものではなく、自分が描きたいと思った納得できる作品を作りたいと思ってやっています。
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昭和の日本が混沌の中で生み出した「沢田研二」という奇跡の芸術を余すところなくおさめた今回の作品集。これから先、果たしてこれほどの熱量をまとったビジュアル作品を我々が目にすることはあるだろうか。おそらく、無い。
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はやかわ・たけじ 東京都出身。画家、デザイナー、アートディレクター、イラストレーター、衣装デザイナーと多彩な方面で活躍。衝撃的かつ甘美な世界観で、芸能人のスタイリストとしても一時代を築く。
『JULIE by TAKEJI HAYAKAWA―早川タケジによる沢田研二』(早川タケジ著、熊谷朋哉<SLOGAN>編集)
詳細はSLOGAN https://www.slogan.co.jp/julie-takeji/