「世界で一番美しい少年」12月17日から全国順次公開 (c) Mantaray Film AB, Sveriges Television AB, ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021
「世界で一番美しい少年」12月17日から全国順次公開 (c) Mantaray Film AB, Sveriges Television AB, ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021

──ビスコンティのオーディション映像の衝撃は大ですね。彼の人生が変わった瞬間だったという点で。入手は大変でしたか?

KL「オーディション映像とカンヌの会見の映像や私生活での8ミリフィルムなど、素材を探すのは大変な作業だった。でもそれは最初からわかっていたから、あきらめずに探したの。絶対にあるはずだからと信じて。最後には手に入れることができた」

KP「ビスコンティのキャスティング・ディレクターだった人も、その後ビョルンがどうなったか全く知らなかった。あの日のことを、記憶だけを頼りに語ってくれたんだ。ビスコンティはビョルンが部屋に入ってきた瞬間、あまりに感動して動けなくなったほどだったと。椅子から立ち上がり、まるで屍(しかばね)が息を吹き返したように動作が一変したと語っていたよ(笑)」

──日本では大反響を呼びましたが、本国スウェーデンでのビョルンの人気は?

KP「スウェーデンでも彼の人気はすごかったよ。SNSのない時代で、世界中のファンから毎日いくつもの袋に入るような数のファンレターを受け取ったという。パパラッチに追いかけられて、スウェーデンでは普通の生活が送れなかったようだ。あの映画のせいで、すっかり生活が変わってしまったんだ」

──日本であれほど人気があったことはご存じでしたか?

KP「50年も前のことだったが、リサーチャーが当時ビョルンと仕事で関わった人たちを見つけてくれたんだ。全員お元気で、ぜひ彼にまた会いたいと言ってもらった」

──来日して撮影したようですが、ビョルンにとってはあれから初めての日本だったんですか?

KL「そうなの。彼にとっても重要な訪問となった。10代で日本に行ったときの記憶は漠然としていて、それを再確認したいという思いがあったようなの。それが実現して満足した様子だった」

──彼がインスピレーションを与えた漫画やCM、日本語のレコードなどの存在を知っていましたか?

KL「ビョルンが教えてくれたのでレコードは知っていた。最初は『ひどいものだから聞かないでほしい』と言われたの。聞いてみて、ひどいとは思わなかったわ。そう言ったら、今では彼の気持ちも変わり、かなり気に入っている様子よ(笑)。『ベルサイユのばら』については、リサーチして事実を発見したの。ビョルン自身も、全く知らなかった。スウェーデンでは全く知られていないので、本作の見どころの一つになったの」

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