いま子どもたちは聞いてくれる相手を探しているようなのです。

 臨床心理士・掛井一徳さんは、雑談や対話が「誰にとっても必要な時間」だと言います。自分の身に起きたことを親や友人に話すと事実や気持ちが整理されます。そのなかで、よいことも悪いことも「心の栄養」に切り替わっていく。共有することではじめて体験は自分に根付いていくのだそうです。大人としては、習い事や勉強などの「インプット」に目が向きがちですが、「誰かに話す」というアウトプットも必要です。

 しかし「聞く子育て」を始めようと思っても、多くの人は時間がとれません。毎日、子どもと向き合える時間が充分にある親なんてほとんどいないでしょう。そこで、料理をするあいだや寝る前の10分間だけは「否定せずに聞く」。あるいは時間が空いたときだけ、子どもが見ている動画を横に並んで見てみる。できる範囲だけでも「聞く子育て」は有効です。

 これから子どもは冬休みに入ります。大人も余裕ができる時間帯もすこしはあると思います。もしよければ「聞く子育て」も実践して、子どものようすを見てみるのはいかがでしょうか。(文/石井志昂)

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、中学2年生から不登校。フリースクールに通ったのち、NPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材。現在はNPO法人を退社しジャーナリストとして活動中。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。

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