B:時間稼ぎとは、どういう意味ですか?

C:依然として8%を超える高いインフレ率のため、11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では0.75%の利上げが予想されていますが、インフレの頭打ち感から12月のFOMCでは0.5%の引き上げにとどまり、来年は0.25%の利上げを2回という予想が増えています。遅くとも来年早々には利上げというドル買い材料が剥落してくる。自然とドル安が進み始めるので、それまでの時間を稼げばいいということです。

■来年の日経平均3万4千円へ?

B:実際、10月26日には予想に反して、カナダ中銀が利上げペースを落として、円高が進みましたね。今後、他の中銀も追随するようなら、日銀の時間稼ぎの介入作戦は大成功と言えるのかも。

A:ただ、外国人投資家の警戒感は強いです。鈴木俊一財務相が「市場を通じて投機筋と厳しく対峙している」って言ったじゃないですか。そのためなら為替操作国認定を気にせず、介入を行うと予想するエコノミストも少なくない。日本の財務省に狙い撃ちにされたら、外国の投機筋も怖いはずです。

B:外国人投資家は株も積極的に買ってこないってことですか?

C:FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ退治を優先しているので、米国株はもう少し下げてもおかしくない。日本株もそれに連れて安くなるので、日経平均は2万5千円までは下げるかなと予想しています。

D:僕はもう少し強気。というのも、アメリカ人は総じて米国株に全力ベットしているので、株安は政権支持率の低下に直結しやすい。岸田首相のように、株安につながる金融所得課税に動いたりすることは考えられないので、年内には底打ちして上昇に転じると考えています。

 投資指標の一つとして有名な日経平均のPBR(株価純資産倍率)は1.0が下値目処で現状1.1を超えていますが、米国株が本格上昇に転じればコロナ前の高値水準である1.4を目指すと見ています。そのときの日経平均は3万4千円程度と見ています。

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