21年春に公開された映画「BLUE/ブルー」では、プロボクサーの役を演じ、俳優として初めて本格的なトレーニングに取り組んだ。

「俳優業界では、『関西弁とボクサーはやっちゃいけない』と言われているらしいんです。なんでかっていうと、付け焼き刃でやると、下手なのがすぐバレるから(笑)。日本人ってボクシングのタイトルマッチをすごく見ているから、体の動きは知らなくても、目で見て世界タイトルの人の動きを知っちゃってるんですって。でも、そのオファーを受けたとき僕はまだ30前だったので、断る権利がなかった(笑)。ただ、そのときのトレーニングは全然続かなかったんですが、今32で、腰とか膝とか痛いんですよ。それで何かのときに重い荷物が持てなくなるのはちょっとなぁと思って、1日30回腕立てをするようになりました」

 日々のルーティンはもう一つ。午前中に仕事がない日は、夫婦で必ず喫茶店に行く。

「昔から、うちの和枝ちゃんと親父が『夫婦で行ってます』なんて雑誌のインタビューなんかで話してたんですが、それ、実は僕らもセットだったんです。実家の近くに行きつけの喫茶店が三つあって、暇な人が行って、誰かがいたら、そこで一緒にお茶をする。その習慣が僕は今も残っていて、仕事のない日は10時半に起きて、妻と一緒に行ってます」

(菊地陽子 構成/長沢明)

柄本時生(えもと・ときお)/1989年生まれ。東京都出身。2003年「Jam Films S 『すべり台』」のオーディションに合格し俳優デビュー(映画は05年公開)。近年の出演作品に映画「BLUE/ブルー」「CUBE」、Netflix「全裸監督シーズン2」など。ドラマ「真犯人フラグ」(日本テレビ系)、「会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編」(ABEMA)が放送中。22年1月13日からNetflixで「新聞記者」が一挙配信。

週刊朝日  2021年12月24日号より抜粋