書き始めた時点では、結末を決めてはいなかったという。
「特に、最終的に主人公がどういう選択をして、どういう決断を下すのかというのは、プロットの段階ではまだ決めていませんでした。書きながら、次第に主人公の思考回路やこれまでの人生経験などが具象化してきて、道筋が見えてきました」
この作品は、「合意出生制度」という新しい概念を軸に、本当の意味で「生を祝う」とは何か、という問いを読者に突きつける。読む側の立ち位置によって、感想も十人十色だという。
「結末一つとっても、おそらくショックを受けた読者もいれば、安心したと思う読者もいると思います。著者として、語りすぎると私の立ち位置も伝わってしまうから、正直、この作品で著者インタビューを受けるのは難しいんです(笑)。ぜひ多くのみなさんに読んでもらえたら」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2021年12月20日号