Googleのプロジェクト・オキシジェン(Project Oxygen)が解明した、優れたマネジャーの条件の1つ目は「良いコーチである」こと。では、なぜマネジャーは良いコーチでなくてはいけないのでしょうか? Googleでグローバル・ラーニング・ストラテジー(グローバル人材の育成戦略)の作成に携わった経歴を持ち、『世界最高のコーチ──「個人の成長」を「チームの成果」に変えるたった2つのマネジメントスキル』の著者でもある、ピョートル・フェリクス・グジバチさんにその理由を聞きました。
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■マネジャーが最低限やるべき5つのこと
なぜマネジャーは良いコーチでなくてはならないのか?
それは、目まぐるしい現代のビジネス環境の変化に対応しながら、チームでより高い成果を上げていくには、チームのメンバー一人ひとりの成長が欠かせないからです。コーチとは、チームのメンバー一人ひとりの目標達成をサポートし、成長を促す存在(人)のことであり、それを実現するための手法がコーチングです。
マネジャーが最低限やるべきことは次の5つです。
(1)チームのミッション(ビジョンと戦略)を明確に決めること
(2)そのミッションに向かっていくプロセスを管理すること
(3)メンバーを育成すること
(4)チームのパフォーマンスを評価すること
(5)チームの「代表」として、必要なリソース(資源)を確保すること
これらのうち、(3)を実現するためによきコーチでなくてはならない、というのはわかりやすいでしょう。(2)も、単なる事務的なプロセス管理ではなく、チームのミッションに貢献しながら成長していってくれるように伴走することと捉えれば、コーチとしての側面がイメージできると思います。
(1)は、コーチが行うべき目標管理とも言えます。メンバーは、日々の業務に追われていると、長期的な目標でもあるミッションをつい忘れがちです。そこで、そのことを忘れないようサポートするのがマネジャー(コーチ)の仕事というわけです。