──自身にとってどんな作品になりましたか。
夢中で書いていたので、できあがったものを今も呆然と見ている感じです。この小説を完成させるためには何が必要なのかを一つひとつチェックしていって、ひたすらノミで彫り続け、ああ、もう彫るところがないと気づいてノミを置いた感覚です。ですから、多くの人に読んでいただけるのはありがたい限りです。
──今後も日本の歴史小説を書くことは考えていますか。
自分の軸足はミステリーにあります。ミステリーと世のつくりへの好奇心が合わさったところに自分の小説は生まれてくる。なるほど、世の中にはこういうことがあるのかという思いとミステリーの交点が、再び日本の歴史になることは、あるかもしれません。
(構成・仲宇佐ゆり)
※週刊朝日 2022年1月7・14日合併号