のんさん(左)と門脇麦さん〈photo 写真映像部・高野楓菜/hair & make up 菅野史絵(クララシステム)(のんさん) 草場妙子(門脇さん)/
のんさん(左)と門脇麦さん〈photo 写真映像部・高野楓菜/hair & make up 菅野史絵(クララシステム)(のんさん) 草場妙子(門脇さん)/ styling 町野泉美(のんさん) 清水奈緒美(門脇さん)〉
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 10月28日から全国公開の映画「天間荘の三姉妹」であの世とこの世の間にある旅館「天間荘」に暮らす姉妹を演じた、のんさんと門脇麦さん。初共演でお互いに感じた想いとは──。AERA 2022年10月31日号の記事を紹介する。

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──海を望む三ツ瀬の街にある「天間荘」。女将の長女のぞみ(大島優子)と次女かなえ(門脇麦)が暮らすこの旅館に、腹違いの三女たまえ(のん)がやってくる。たまえは交通事故で臨死状態になっており、この場所で肉体に戻るか、天界に旅立つかを決めることになる。

のん:原作コミックを読むとたまえの人生ってさえないんですよね。これまであんまり必要とされずに生きてきた。天間荘にきて、やっと自分が必要とされて居場所ができた。それがうれしくて自分がそこにいられるように、一生懸命に宿を手伝うんです。明るくみえるけれど、暗い面が内在しているキャラクターだと捉えて演じました。

門脇:私はこの作品、普通の家族の物語だと思って演じました。もちろんテーマやメッセージを理解したうえで、観ている人に「この三姉妹をずっと見ていたい」と思ってもらえたらと。

──宿泊客や姉妹と交流するうちに、たまえは街の秘密を知る。

門脇:生きることや死ぬことについては誰もが考えることですよね。それをこういうかたちで描くのはつらい!と最初は思ったんです。でも完成した作品を観て「ああ、解放されたのかな」とも思えて。

のん:亡くなった人の魂に思いを馳せることができる映画です。先に逝ってしまった人は、いまも残された人のことを大切に思ってくれているかもしれない。そう思うことで気持ちが前向きになったり、心が軽くなったりする方もいると思うので、何かの希望になればいいなと思っています。

■イルカと泳ぐ

──クールだけれど優しい次女、まっすぐでちょっと天然な三女。姉妹のキャラクターはどこか現実の二人に重なる。

のん:今回初めて麦さんとご一緒させていただいて、こんなにおもしろい方なんだ!と、うれしかったんです。ずっと素敵な役者さんだと思っていたけれど、漠然と「役者!」というか、「いま話しかけていいかな?」みたいな緊張感が常にある方かも、というイメージがあって。

門脇:そんなの皆無だったでしょ(笑)。

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