菊地陽子
ただ、“芸人”としては、失敗こそがいいネタになる。ピカピカのおじさんとして10年前にブレークしたことは、一般の俳優からしたら失敗かもしれない。でも、おかげで俳優寿命は、若くして成功した俳優よりもたぶん長い。今年3月に出版した自伝的小説『雌伏（しふく）三十年』にも、失敗の事例ばかりが綴られているけれど、それについてマキタさんは、「芸能物としては良かったのかもしれません」と言って、シニカルに微笑んだ。
「芸能人というか、芸能物としての自分は、作られたダメージジーンズじゃなくて、本当のダメージジーンズとしてのスタートでしたからね。言うならばヴィンテージ系なんです。僕が使うと軽く聞こえるかもしれないですけど、ヴィンテージとしての“本物感”はすごくあるんじゃないか。その点では遅咲きでトクをしているのかもしれません。おじさんがそのまま現場に行って、ただ疲れているだけでも、おじさんとして成立するんですから（笑）」
（菊地陽子、構成／長沢明）
※週刊朝日 2022年10月28日号より抜粋
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どんな人にも「忘れられない１日」がある。それはどんな著名な芸能人でも変わらない。人との出会い、別れ、挫折、後悔、歓喜…AERA dot.だけに語ってくれた珠玉のエピソード。
沖昌之
ラリー遠田
森朋之
