放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、浅草の「振袖さん」を取り上げる。
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10月11日から、「Go To トラベル」の後継ともいうべき「全国旅行支援」(全国を対象とした観光需要喚起策)がスタート。同時に「水際対策」も緩和され、コロナ禍で多大なる影響を受けた観光業界には期待の声と歓迎ムードが高まっている。
テレビでも、「3年ぶり」に開催されたイベントやお祭りに生ワイドやニュースが取材クルーを出したり、リポーターやアナウンサーが大勢の人の中で中継したりしている。これも、まさに“3年ぶり”の光景だ。
これまでにもコロナ禍の人出の有無や増減について指標としてテレビ局のカメラに必ず映し出されるのが「雷門」と記された東京浅草・浅草寺の大提灯だ。
2020年4月、パナソニックが奉納したもので、1960年以来続く、浅草のシンボル。10年に一度、大改修されている。
その浅草は、都内で、もっともイベントや祭りが多い街ではないだろうか。そのPRに余念がないのは、「協同組合浅草おかみさん会」理事長の冨永照子さん。メディア出演も多いことで知られる冨永さんが経営する『十和田』は、尾上松也さんをはじめ、多くの著名人の顧客をもつ有名飲食店だ。
その『十和田すしや通り店』の2階で毎週火曜日と土曜日に行われているのが「振袖CHAYA」。界隈の演芸場に出演する芸人や噺家、老舗レコード店にキャンペーンに訪れる若手歌手らの間で話題になっている、カジュアルにお座敷体験ができる場所だ。
そこで歌や踊りを披露し、おもてなしをしているのが「振袖さん」。浅草の伝統文化を受け継ぎ、歌や踊りで宴席を華やかに彩る役割を果たしてきた彼女たちは、地元のイベントやパーティー、お祭りなどには欠かせない“有名人”なのである。
よって彼女たちと各所で“共演”した芸能人や、一目見てファンになった一般客が「振袖CHAYA」を訪れているのである。