沖縄を舞台にした「ちむどんどん」が終わり、「舞いあがれ!」が開幕。今度の舞台はものづくりの町・東大阪と、自然豊かな長崎県五島列島だ。AERA2022年10月10-17日合併号の記事を紹介する。
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9月30日に本編最終回を迎えたNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。「9月27日放送の回、号泣」と話すのは、朝ドラ好きの女性。草刈正雄さん演じる大里五郎が、沖縄の比嘉家を訪れ、優子(仲間由紀恵)に、40年前の沖縄戦の際、優子の姉・時恵を看取ったことを語る。ひどく負傷し、小屋に身を隠していた時恵は、幼かった五郎に小さなおにぎりをあげた。時恵は亡くなる前、水を欲しがる。しかし五郎は、明日からのことを考え、水はないと嘘をつく。
「草刈さんが泣きながら告白する演技に圧倒されました。でももっと早く、こういうシーンが出てきてもよかったのでは……」と女性。同様の声は、SNSでも少なくなかった。
第2次世界大戦の沖縄戦を描いた映画「島守の塔」の脚本家、柏田道夫さんが言う。
「沖縄の本土復帰50年を記念して沖縄を舞台にしたわりには、その意味があまり感じられないのが残念でした。基地問題や米軍との関係などは朝ドラで触れにくかったのかもしれません。しかし、沖縄戦の遺骨収集の話もチラッと出てくる程度で中途半端でしたし、復帰時の混乱や、沖縄の人が本土復帰をどう捉えたかなど、もっと観たかった。沖縄の人の感覚や風土が伝わってきた『ちゅらさん』(2001年)とどうしても比較してしまい、『なぜ今回は?』と思いました」
芸能ライターの山下真夏さんは、ヒロインの暢子役、黒島結菜さんに着目。
「朝ドラは長丁場なので、ヒロインを演じた俳優さんは通常、次回出演作まで間を置きます。しかし黒島さんは10月スタートのTBS系ドラマ『クロサギ』のヒロイン役を務める。こんなにすぐなのは異例で、だからこそ、芸達者な黒島さんが、批判も多かった暢子役をどう払拭し、どんな顔を見せてくれるか。楽しみです」