「舞いあがれ!」/舞台は1990年代から現代。ものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で様々な人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢へ向かって奮闘するヒロインを描く。「連続テレビ小説」第107作。10月3日から放送中 photo(c)NHK
「舞いあがれ!」/舞台は1990年代から現代。ものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で様々な人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢へ向かって奮闘するヒロインを描く。「連続テレビ小説」第107作。10月3日から放送中 photo(c)NHK

■「空」に憧れるヒロイン

 10月3日から始まったのが、福原遥さん主演の「舞いあがれ!」。ものづくりの町、東大阪と、自然豊かな長崎県五島列島が舞台。ヒロインの岩倉舞は、幼い頃から引っ込み思案な性格。祖母が暮らす五島列島を訪れ、五島に伝わる民芸品「ばらもん凧」をきっかけに「空」に憧れるようになり、やがてパイロットを目指す。朝ドラ脚本に初挑戦する桑原亮子さんのオリジナル作品だ。前出の山下さん、そして『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』の著者、田幸和歌子さんともに開口一番「桑原さんに、めちゃくちゃ期待!」。

「『彼女はすごい』という噂はかねてから耳にしていました。人の心の機微を繊細に丁寧に描く。初めて連続ドラマの脚本を担当したNHK土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』には胸を打たれました」(山下さん)

 田幸さんも、「心の傷を~」に魅了された。

「朝ドラに限らず近年のドラマの傾向として、ナレーションやセリフで説明をつけようとするきらいがある。ところが桑原さんはそれをしない。言葉の紡ぎ方、削り方が見事。ご本人が難聴の悪化から『書く仕事』に進まれたこと、歌人でもあることが関係しているのかもしれません」(田幸さん)

 脚本は桑原さんに加え、「エール」(20年)の脚本も担当した嶋田うれ葉さん、19年に創作テレビドラマ大賞を受賞しNHKで放送された佃良太さんが担う。3人体制は「エール」以来だ。

 山下さんと田幸さんで一致した見どころポイントがもうひとつある。それは、NHK大阪放送局制作であること。ドラマ好きの間では、NHK大阪放送局制作の朝ドラは優れている、というのがほぼ常識。脚本チームがうまく連携し、さらにプロデューサー、演出との連携がうまくいけば、素晴らしい作品になること間違いない、と2人が太鼓判を押す。

「いろんな意味でメディアに頻繁に取り上げられた『ちむどんどん』のような派手さはないかもしれません。また、『舞いあがれ!』の良さが多くの人に認識されるのは、SNSで評判がじわじわ広がった物語中盤くらいかもしれません。でも、私は1話から見逃したくないですね。最初から観ることを、強くお勧めします」(田幸さん)

 舞台の一つ、五島列島についても言及したい。五島列島の最南端、五島市は最近移住先として注目を集めており、18年以降、4年連続で年間移住者が200人超え。20年11月に愛犬と移住した岐阜県出身のホワイト美佳さんはインバウンドマーケティングの会社の代表で、国内外を飛び回っている。「自宅から福江空港まで車で10分、福岡空港までは飛行機で40分。福岡空港からは国内はもちろん海外へも飛行機が飛んでいる。まったく不便は感じません。バカンスしながら仕事できて最高」(ホワイトさん)

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