ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫の愛ちゃんです。
【写真】ワタシを見なさい!とばかりに、どっかり座り込む『愛ちゃん』
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わが家のアイドル・愛ちゃんは、今年12歳。立派な年女である。いかにも寅(とら)年生まれらしく、勝ち気でお転婆(てんば)だが、一滴でも水しぶきが飛ぶと、後ろ脚にしっぽを巻きつけて逃げていく臆病な一面も。
生後ひと月くらいの頃に捨てられ、母や兄妹猫と別れるのが早すぎたためか、成猫になってからもとにかく甘えん坊だ。
新聞を読んでいると、「新聞ではなくワタシを見なさい!」とばかりに、紙面にどっかり座り込む。
長電話をしていると、アキレス腱(けん)のあたりにかみついてくる。それでも受話器を置かないと、今度は作戦変更。しっぽを立てて、私の足のまわりをクルクルと回りながら、ひげやお尻をこすりつけてくる。誰に教わったのか、アメとムチを巧みに使い分ける。
その夜、いつもは部屋の中にいる愛ちゃんが、めずらしく玄関に降りて目を光らせていた。
長いしっぽをゆっくりと左右にさばきながら、鼻息あらく一点を凝視している──。愛ちゃんの視線の先に目をやると、思わず私は手で口を覆った。何と、壁に大きなムカデがはっていたのだ。
大きな胴体には、びっしりと太い足が生えており、背中には赤い模様が。何と痛そうなデザインだろうかと、感心している場合ではない。
ずっと室内飼いをしてきたため、狩りをしたことがないというのに、ちゃんと野生の勘が残っていたとは。
もし翌朝、私がそのまま靴を履いていれば、足を刺されていたかもしれない。見つけてくれてありがとう、愛ちゃん。
この小さなトラにやはり私はかなわない。どうやら猫を飼っているのではなく、飼われているのは、この私なのである。(岡山県玉野市/39歳/アルバイト)
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※週刊朝日 2022年10月7日号