愛ちゃん(提供)
愛ちゃん(提供)
この記事の写真をすべて見る

 ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、の愛ちゃんです。

【写真】ワタシを見なさい!とばかりに、どっかり座り込む『愛ちゃん』

*  *  *

 わが家のアイドル・愛ちゃんは、今年12歳。立派な年女である。いかにも寅(とら)年生まれらしく、勝ち気でお転婆(てんば)だが、一滴でも水しぶきが飛ぶと、後ろ脚にしっぽを巻きつけて逃げていく臆病な一面も。

 生後ひと月くらいの頃に捨てられ、母や兄妹猫と別れるのが早すぎたためか、成猫になってからもとにかく甘えん坊だ。

愛ちゃん(提供)
愛ちゃん(提供)

 新聞を読んでいると、「新聞ではなくワタシを見なさい!」とばかりに、紙面にどっかり座り込む。

 長電話をしていると、アキレス腱(けん)のあたりにかみついてくる。それでも受話器を置かないと、今度は作戦変更。しっぽを立てて、私の足のまわりをクルクルと回りながら、ひげやお尻をこすりつけてくる。誰に教わったのか、アメとムチを巧みに使い分ける。

 その夜、いつもは部屋の中にいる愛ちゃんが、めずらしく玄関に降りて目を光らせていた。

 長いしっぽをゆっくりと左右にさばきながら、鼻息あらく一点を凝視している──。愛ちゃんの視線の先に目をやると、思わず私は手で口を覆った。何と、壁に大きなムカデがはっていたのだ。

 大きな胴体には、びっしりと太い足が生えており、背中には赤い模様が。何と痛そうなデザインだろうかと、感心している場合ではない。

 ずっと室内飼いをしてきたため、狩りをしたことがないというのに、ちゃんと野生の勘が残っていたとは。

 もし翌朝、私がそのまま靴を履いていれば、足を刺されていたかもしれない。見つけてくれてありがとう、愛ちゃん。

 この小さなトラにやはり私はかなわない。どうやら猫を飼っているのではなく、飼われているのは、この私なのである。(岡山県玉野市/39歳/アルバイト)

【原稿募集中!】

「犬ばか猫ばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。

原稿は800文字程度で、ペットのお写真(2枚までOK)を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。

必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。

尚、掲載は本コーナー(外部配信含む)と「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円。

mypet@asahi.com

※著作権は本社に帰属します

週刊朝日  2022年10月7日号