──演じた松也さんご自身も、かなり作品に入り込まれたのでしょうか?
とくにアニメの吹き替えでは、声を演じる僕自身にも没入感があって。「バッドガイズ」でも画面の中のウルフが感じていることが、僕にも伝わってくるような感覚がありました。例えば毛が逆立つ感じとか、身震いする感じとかですよね。
さらに吹き替えをしている僕も、その作品世界の住人になって、未知の体験ができたりする。もちろん現場で撮影する役者の仕事にもたくさんの魅力がありますが、吹き替えというのもまた、特別な魅力がある仕事だなと思っています。
──この作品には、一見ワルながら、愛すべきさまざまなキャラクターが出てきます。ご自身に一番近いキャラクターは?
うーん……やはり僕が演じたウルフですかねえ。まず、これは似ているというより、見習いたいところなのですが、彼はみんなを引っ張っていくリーダーなのに、ものすごく素直でストレート。だからこそ見る人に共感してもらえる。そんなやりがいのある役でした。
実は自分もこう、人を巻き込んで何かをしようっていうところはあるんですよ。野心みたいなものを持って、常に行動しているというか……そういうところはもしかしたらウルフ似かもしれない。ただ僕の場合は、これを「やろうぜ!」って立ち上げたら、あとは「やってくれ」っていうほうで(笑)。持久力ではウルフに及びませんね。
とにかく文字どおり「大人も子どもも楽しめる」作品。お子さんは、ビジュアルと世界観、あとテンポの良さというところでとても楽しいと思いますし、大人は、プラス「それ、わかるよな」とか、少し深い部分でも楽しんでいただけるはずです。
──一方で、バラエティーでもご活躍ですね。とうとう「松也Pの○○○」(BS松竹東急)という冠番組も始まりました。
よく知ってますね(笑)。いやいや、僕がP(プロデューサー)になって、ただただ好きなことをやるという、ほんとにそれだけの番組なんですけどね(笑)。実際に僕が気になること……例えばキャンドルとか、富士急ハイランドとか、ひとつのテーマを掘り下げるドキュメンタリーバラエティーで、僕が企画を考えて企画会議に参加するなど、本当にゼロから作っています。
まあ、ここ何年かは、舞台やドラマなど、自分が企画したり、制作に入ったりする作品がだんだん増えていって……つまり自分が何をやりたいかっていうことを表現するというか。
これって、ワンランク上の挑戦なので大変ですけど、それだけにやりがいも大きい。ですので、バラエティー番組でも、自分で作っていいという機会をいただけて、タイミング的にもとても感謝しています。まあ、予算がきびしいのが、Pとしての目下の悩みなんですけどね(笑)。