![菅義偉前首相](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/9/c/840mw/img_9c177604f302c9707ee1fd6ae6bb67be53888.jpg)
安倍氏自身、国政選挙で教団票の割り振りを取り仕切っていたことが判明しており、派閥会長を務めた細田博之衆院議長も教団関連団体の会合に参加していたことが判明している。9月13日の党総務会では村上誠一郎元行革相が「安倍、細田両氏を点検対象から除外しているのは問題だ」と発言。その後、国葬には欠席することをメディアに公表するなど、ハレーションは収まらない。
そんな窮地の中、国葬後に本格化するとみられるのが安倍派の後継者争いだ。9月19日に安倍派が都内のホテルで開いた研修会では出席議員らにワイシャツ姿でほほ笑む安倍氏の遺影に使われた写真が配られ、改めて安倍氏の威光に頼らざるを得ない苦しい台所事情を見せつけてしまった。同派は現在、下村氏、萩生田氏、西村康稔経済産業相、世耕弘成参院幹事長、松野氏の「5人組」を中心に運営され、会長ポストは空席のまま。「党総裁候補」ともなる新会長選びで派内対立が激しくなれば、分裂は避けられないとの見方が強い。政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう語る。
「長期的に見ると安倍派はばらけていくでしょう。100人規模の派閥はカリスマがいないと持たない。清和会にとって安倍氏という存在が必要不可欠だったということです。安倍氏自身が後継を育ててこなかったツケが回ってきているのではないか」
難局を打開しようと、安倍派は9月から会長代理の塩谷立氏と下村氏を中心に、当選回数別の議員懇談会を始めた。ただ、これは中堅、若手議員にたまった不満や苛立ちの「ガス抜き」の要素が強い。安倍派中堅議員は「このままでは清和会は『馬糞の川流れ』状態でバラバラになっていくだろう」と自虐的に語った。
一方で、政治ジャーナリストの野上忠興氏は逆の見方をする。
「清和会では過去に三塚博元蔵相と加藤六月元農水相が争う『三六戦争』で派閥が分裂したが、そんなパワーがある政治家はもういない。次期衆院選で萩生田、下村両氏の当選が危ぶまれるような状況下で、派閥が割れるような事態にはならないでしょう。派内では、会長職は『年の功』で、70代の塩谷会長代理にやってもらう声が出て集約されつつある」