高校生になると、同級生と同じくシャラさんも化粧に目覚める。だが、ドラッグストアの化粧品コーナーを見渡したとき、すぐにこう思った。
「その頃デパートの存在を知らなかった私は、地元王子のドラッグストアでみんなと同じく化粧する方法を探ろうと思ったんです。でも、最初に自分の色のファンデーションがないことに気がついて、めんどくさがりの私はすぐに化粧を諦めました(笑)」
店に並ぶのは、薄いオレンジがベースになったファンデーションばかり。シャラさんの肌に合うコスメは見当たらない。海外からのコスメを探せばいいと思うかもしれないが、当時はアジア人以外の友人や知り合いがいなかったため、相談できる相手もいなかった。
「私の中で化粧という手段は絶たれてしまったので、なにか簡単に印象が変わる方法はないかなと考えていたら、たまたまカラコンという存在に出会いました。原宿のカラコンのお店で店員のお姉さんに言われるがまま色々試してみた中で、一番似合うと言われたのが青でした。確かに私の実際の目の色とのコントラストが一番大きく、その不思議な感じが気に入ったんです。その後、髪も肌の色と一番コントラストが大きくなる金髪に染めてみました」
そんなシャラさんを、周りはキャッチーに受け止めてくれた。
「悶々と考えていたことの答えが見つかったような気がしたんです。何人かわからないような、相手に問いを生むこの容姿で人と関わるのは実験的でとても楽しく感じました。一見すると何者かわからない印象は、自分のそれまでのパッチワークのような人生に、とてもフィットする感じがありました」
※記事の後編<<「自分の人種を愛してください」に違和感 モデル自身が“何人なのか”あえてわからないようにしている理由>>に続く
(編集部・福井しほ)
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