木村文乃(きむら・ふみの、右):1987年、東京都出身。2006年に映画「アダン」で俳優デビュー。14年に第38回エランドール賞新人賞を受賞。近作に映画「ザ・ファブル」シリーズ(19、21年)、ドラマ「麒麟がくる」(20年、NHK)、「七人の秘書」(20年、テレビ朝日)など/深田晃司(ふかだ・こうじ)/1980年、東京都出身。「淵に立つ」(2016年)で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞ほかを受賞。「本気のしるし《TVドラマ再編集劇場版》」は、第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」に選出された(撮影/篠塚ようこ)
木村文乃(きむら・ふみの、右):1987年、東京都出身。2006年に映画「アダン」で俳優デビュー。14年に第38回エランドール賞新人賞を受賞。近作に映画「ザ・ファブル」シリーズ(19、21年)、ドラマ「麒麟がくる」(20年、NHK)、「七人の秘書」(20年、テレビ朝日)など/深田晃司(ふかだ・こうじ)/1980年、東京都出身。「淵に立つ」(2016年)で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞ほかを受賞。「本気のしるし《TVドラマ再編集劇場版》」は、第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」に選出された(撮影/篠塚ようこ)
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 深田晃司監督の新作「LOVE LIFE」がヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出された。深田監督が主演の木村文乃さんとともに喜びを語った。AERA 2022年9月19日号の記事を紹介する。

【写真】映画「LOVE LIFE」はこちら

*  *  *

――木村文乃さんが演じるのは集合団地に暮らす妙子。ホームレス支援を行うNPO団体で働き、再婚相手である夫の二郎(永山絢斗)と息子の敬太(嶋田鉄太)との穏やかな日々を送っている。しかしそんな日常が、ある事故で一変する──。

木村:深田監督のおかげでヴェネチア国際映画祭のコンペティションに参加させていただくことになって、夢のようです。

深田:木村さんを一目見て「あ、妙子だ!」と思ったんです。これまでの役柄とはちょっと違ったかもしれませんが、見事に演じていただいて感謝です。

木村:監督はすごく穏やかで優しくて「スタッフみんなが撮影しやすいように」を第一に考えてくださっていました。でもお芝居に関しては、常にピンと張り詰めたピアノ線みたいなものがあるんです。その緊張感のなかでいい意味でヒリヒリさせていただいた気がします。撮影前にキャストとスタッフと一緒にワークショップをしていただいたこともすごくよかった。

深田:僕がよくやる方法で、数本の映画を紹介して「映画史における演技の変化」について伝えるんです。今回はエドマンド・グールディング監督の「グランド・ホテル」とロベール・ブレッソン監督の「田舎司祭の日記」などでした。

木村:監督は「お芝居しないでください」「やりにくいところはなおしますので、自然にいられるようにしてください」と。

■「人間」になりたい

深田:俳優それぞれに演じ方があるとは思うのですが、日本の俳優さんは「役のキャラクターをきちんと伝えよう!」というお芝居をする方が多いと感じています。日常では出さないような声の張り方をしたり。だからみなさんにまず「共演者と日常で人と話すような距離感でコミュニケーションをとってください」とお願いしています。

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