気象庁はきょう10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。ラニーニャ現象は、来年1月まで続く可能性が高く、その後、終息に向かう見込みです。春には平常の状態となる可能性が高くなっています。
10月の実況
気象庁はきょう10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
それによりますと、10月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-0.9℃で、9月と同じでした。ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の8月の値は-0.7℃で、12か月連続して-0.5℃以下となりました(ラニーニャ現象の基準は6か月以上)。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部で平年より高く、中部から東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。
このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の成熟期の特徴を示しており、昨年秋からラニーニャ現象が続いているとみられます。
今後の見通し
冬の半ば(1月)にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高くなっています。その後、ラニーニャ現象は終息に向かい、春には平常の状態となる可能性が高い見込みです。 大気海洋結合モデルは、大気と海洋の相互作用により西部から中部で貿易風の強い状態が続くために、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬にかけて基準値より低い値で推移し、その後、西部の暖水の東進に伴い上昇に転じ、春には基準値に近い値になると予測しています。
以上のことから、冬の半ば(1月)にかけてラニーニャ現象が続く可能性が高く(80%)、その後、終息に向かい、春には平常の状態になる可能性が高い見通しです(70%)。
ラニーニャ現象とは
「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。
ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。
日本への影響は?
過去の統計によりますと、冬(12月~2月)は、ラニーニャ現象発生時の平均気温が東日本や西日本、沖縄・奄美で「低い」出現率が46%となっています。
ラニーニャ現象時の冬は、厳冬傾向で、気象庁の寒候期予報(9月20日発表)でも、西日本、東日本を中心に寒さが厳しくなる予想です。また、日本海側では雪が多くなる見込みです。最新の情報を確認しつつ、大雪に備えてください。