〈PR〉

メインイラスト

これから知りたい! 本気で学びたい!AI・データサイエンスって結局何だ!?

AIとデータサイエンスは、今や社会になくてはならない存在だが、進歩のスピードが速く「よくわからない」という人もまだ多い。結局、必要なもの? リスクがあるもの? 2024年のAI・データサイエンス分野について、大学と企業が語り合う。

構成/株式会社POW-DER 座談会原稿/稲田砂知子 写真(木村恵子)/鈴木克典
イラスト/火曜び デザイン/スープアップデザインズ
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot. AD セクション

今回の座談会に参加した大学

京都大学 上智大学 同志社大学 武蔵大学

テクノロジーで実現! Well-beingな社会

AI・データサイエンスの活用のおかげで暮らしが便利になる一方、まだ使い手の知識やスキルが足りず、問題が起こる場面もある。
技術をより良く活用し、Well-being="誰もが健やかで幸せな社会"を実現する方法とは?

座談会参加のみなさん interviewQ.AI・データサイエンスを始めたきっかけは?/AI・データサイエンスの魅力とは?

京都大学

情報学研究科 教授
国際高等教育院附属
データ科学イノベーション教育
研究センター長

山本やまもと 章博あきひろ さん

上智大学

学務担当副学長
理工学部情報理工学科 教授

伊呂原いろはら たかし さん

同志社大学

文化情報学部 特別客員教授

狩野かの ゆたか さん

武蔵大学

社会学部メディア社会学科 教授
武蔵学園データサイエンス研究所副所長

庄司しょうじ 昌彦まさひこ さん

株式会社NTTドコモ

R&D戦略部 社会実装推進担当
シニアエキスパート

落合おちあい 桂一けいいち さん

株式会社リクルート

データ推進室
アドバンスドテクノロジーラボ
所長

竹迫たけさこ 良範よしのり さん

可能性を広げるテクノロジーの進歩

イラスト

木村恵子(AERA編集長) 本誌でAI・データサイエンスをテーマにした座談会を開くのは4回目です。毎回、新しい話題が登場し、この分野が日進月歩であることを実感しています。最近ではどんなAI・データサイエンスの活用例がありますか。

山本章博さん(京都大学) 本学の大学院情報学研究科の研究グループが2020年、アイヌ語の語り部の言葉をAIの音声認識によって自動的に文字化し、さらにアイヌ語の文章を語り部の方が実際に話しているような音声として合成することに成功しました。アイヌ語は現在、UNESCO※1により極めて深刻な消滅危機言語に指定されています。この研究では、貴重な文化を、AIの力を使って継承していくことを目指しています。また、他の言語についてもこうした取り組みを始めているようです。

※1 国際連合教育科学文化機関。諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合の専門機関。

社会で信頼される形でAIを利用できる技術。

伊呂原 隆さん(上智大学) 本学では、学生の授業に対する満足度を測るアンケートを毎学期、実施しています。5段階での評価欄と違い、分析が難しいのが自由記述欄。集まる回答数は10万規模なので、人による集計は膨大な時間がかかります。しかし、生成AIを使えば、自由に書かれた文章を瞬時に分析し、要点をまとめることができる。このことがアンケートの効果的な活用につながっています。企業でも市場調査などでのアンケート分析の効率が飛躍的に高まったのではないでしょうか。

庄司昌彦さん(武蔵大学) 私は選挙の例を挙げたいと思います。今夏の東京都知事選挙では、AIでバーチャル化した候補者が政策を語ることが話題になりました。海外では、生成AIを使用して、過去の指導者がメッセージを発信するフェイク動画などが作成され問題になりました。また、有権者のパーソナルデータをもとに誰にどのメッセージを送ると効果的かを分析する、ということも海外の選挙では行われていて、これはビッグデータの非常に高度で実用的な活用例だと思います。

イラスト

狩野 裕さん(同志社大学) 研究分野では、使われていない所を探すのが難しいという状況です。例えば、私が在籍する文化情報学部では、人の動きを捉えるときにモーションキャプチャーを使った動作情報の検出を行います。これにAIを用いることで、今までのように体中に貼るマーカーが不要になり、動画が残っていれば、たとえ故人でも体の動きを測ることができるようになりました。AIの画像認識の進歩が研究の幅を広げています。

木村(AERA) 企業ではどんな新しい活用例がありますか。

落合桂一さん(株式会社NTTドコモ) 私が過去に携わっていた事業を紹介します。当社のコールセンターには、スマートフォン(スマホ)の操作に慣れていない方からたくさんのお問い合わせをいただきます。スマホが普及するほど、使う側、売る側双方に負担なことが増えてきました。そこで、スマホにAIを搭載し、操作の仕方で困っている内容を推定し、自動的にご案内する機能を搭載しました。どちらにとってもメリットのあるAIの使い方です。

竹迫良範さん(株式会社リクルート) 当社が提供するオンライン学習サービスに、生徒一人ひとりの習熟度に合わせた講義を推薦する機能があります。独自開発したAIが学習履歴から、その人に必要な学びを判断します。人を介さずに、自分に合った学習法を取り入れられるのが利点です。

AI・データサイエンスとウェルビーイング

木村(AERA) 今回のテーマである「ウェルビーイング※2」は、「個人や社会が良い状態であること」を意味します。AI・データサイエンスの活用は、私たちのウェルビーイングにどう関わっているでしょうか。

※2 世界保健機関(WHO)の憲章による「健康の定義」では、“病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(Well-being)にあること”(意訳)とされている。

課題を発見する力が高度な技術の活用には欠かせない。

狩野(同志社) わかりやすい事例では車の自動運転でしょうか。車を所有していなくても、夜中の急病の際に自動運転のタクシーが来てくれたり、高齢者の運転技能が落ちても、免許を返納することなく車に乗ることができたりするのは、多くの人にとって幸せな社会と言えるでしょう。

伊呂原(上智) 心と体の健康に役立てるヘルスデータの分析での活用も挙げられます。スマートウォッチで体調測定をするように、個々に最適化したアドバイスを受け取れる仕組みづくりなど、メンタルヘルスの改善につながる技術革新にも期待したいです。

落合(NTTドコモ) 健康については長期にわたるデータが必要なので、今はその途上です。データがもっと集まれば、うまく活用できる時代になるだろうと思います。

伊呂原(上智) 自動運転や人の健康を測るウェアラブルデバイスが普及すれば、ネットワーク空間に膨大なデータが集約されていきます。ただ、データがあるだけでは「便利」でなく、ネットワークの中の「サイバー空間」と、人間が生きる「フィジカル空間」をうまく接続する必要があります。その役割を果たすのがスマホやスマートウォッチなどのデバイスです。

イラスト

庄司(武蔵) AIがフィジカル空間の仕事を奪うという議論もありますが、特にサイバー空間の側ではエンターテインメント分野などを中心に、新たな仕事も生まれるはずです。例えばゲームの世界は、eスポーツなどのビジネスとしても、生活文化としても、今後はさらに発展しウェルビーイングに貢献するでしょう。 

竹迫(リクルート) 働き方の多様化が進むのではないでしょうか。例えば翻訳機能が発展することで言語によらないコミュニケーションができ、VR※3を使えば場所を問わない働き方が可能になると予想します。グローバルな働き方がより促進されていくはずです。そして職場のデジタル化が進めば、勤務時間が減って余暇の時間が増える、そんな社会の実現を期待しています。

※3 バーチャルリアリティー。仮想現実ともいわれ、視覚を始め触覚や嗅覚、聴覚などに訴え、現実のような体験ができる仕組み。

庄司(武蔵) 働き方といえば、地方自治体では、人口の多い1970年代初頭生まれの「団塊ジュニア」が引退すると、その補充ができないまま、今の半分の人数で仕事を回していかなければならないと予想されています。そこで期待されるのがAIロボットの活躍です。ただ、AIを導入する前に、人に負荷をかけてきたアナログで非合理的な仕事の仕方を根本から見直す必要がありますね。

山本(京都) 私はAIやデータサイエンス研究が進展した先に、多様性を尊重する社会を実現したいと考えています。たとえ疾患や障がいがある人でも、パーソナライゼーション※4された教育や仕事を得られ、活躍の場や行動範囲を広げていけるような社会です。つまり個人にとって価値ある世の中を作っていくためにAIやデータサイエンスはあると考えます。

※4 個人の適性や能力、性質などに合わせること。

日本人の生活満足度は?

データの質と量、公正さの確保が課題

木村(AERA) AI・データサイエンスの活用には課題もあると聞きます。

山本(京都) 今、最も大きな問題だと感じるのは、最初の「データ収集」です。分析のために必要かつ十分な量と質が得られているのか、首をかしげるケースが多いです。イラストを描く生成AIに「京都大学の情報学科の学生の絵を描いて」と指示を出すと、ほぼ男子で、めがねをかけてうつむいている学生が出来上がります。実際は女子を含め、多様な学生がいます。

落合(NTTドコモ) AIは既存のデータを学習しているので、そのデータが偏っていれば、分析結果もそれに引っ張られますね。データの公正さをどう担保していくかが重要だと思います。

木村(AERA) そうしたAI・データサイエンスの弱点を克服するには、どのようなことに力を注ぐべきでしょうか。

山本(京都) AIを社会で信頼される形で利用できるようにするための技術が求められます。また、今のAIは膨大な電力を消費するなどの問題もあるので、効率の良いアルゴリズム設計も必須です。AIやデータサイエンスの仕組みをきちんとわかった上で、どういう仕事があるのかを考えるといいですね。

落合(NTTドコモ) データの公平性、倫理性をチェックする技術は今後、ますます重要性が高まると思います。

竹迫(リクルート) その通りで、当社ではAIのガバナンス※5の仕事ができました。AIが学習するデータにプライバシーや人権の侵害、差別、多様性の排除がなされていないか定期的にモニタリングして、検査する仕事です。

※5 適切に用いるための管理体制。

AIがおかす間違いを見抜ける高い専門性。

狩野(同志社) 「千のことを言ったうち正しいことは三つもない」という意味の「せんみつ」という言葉がありますが、AIの場合は逆です。つまり、千のうち三つくらい間違うのです。今後、AIが進化するほど、その間違いを見抜くためにはより高度な知識レベルが求められます。まず自分の専門においては、AIの「せんみつ」を検出できるような確かな知識を持つこと。学生にはいつもそう話しています。

竹迫(リクルート) そうですね。例えば議事録などはAIで作成できるようになりましたが、専門用語やそのほか複雑な言い回しは、AIが間違う可能性が捨てきれません。私もAIが生成した結果が正しいかを評価することが一層、大切になると思いますし、その仕事はなくならないはずです。

課題を発見する力が重要になる

イラスト

あらゆる学問の知識と人間力が求められる

木村(AERA) AIが発達するほど、人の目と手が必要で、そのための高い技術が求められるのですね。その上でAI・データサイエンスでウェルビーイングを実現するには、どんな能力が必要と考えますか。

伊呂原(上智) まず、課題を発見する力だと思います。私たちの社会、学校、身の回りでは一体何に困っているのか、効率が悪いのはどの部分なのか、それがわからないと、AI・データサイエンスの高度な技術を生かすことができません。

何が大事なのかを見極める批判的な視点。それを培う人文社会科学の幅広い教養。

山本(京都) 例えば最初にお話ししたアイヌ語のAIによる音声認識の開発の場合、音についての物理的知識、人間の聴覚に関する知識、音の計測法の技術も必要になります。学生のうちから、幅広い分野に興味・関心を広げられるといいですね。

庄司(武蔵) 個人や組織、社会をさまざまな角度から客観的に捉え、より本質的な課題を設定できること。その過程では、その社会課題を解決する必要が、そもそもあるのかを疑うことも必要です。つまり、何が大事なのかを見極める、批判的な視点が求められます。そのためには統計学などの基礎的な理系の知識に加え、人文社会科学を含む幅広い教養を有することが求められます。いわゆる文理融合の学びが必須です。

伊呂原(上智) そうですね。さまざまな学問分野の力を総動員しなければなりませんし、分析結果をわかりやすく伝える言語能力も必要です。英語をはじめとした語学力も重要となるでしょう。また、批判的思考とは他人の考えを否定するのではなく、まず相手の話を聞くことから始まりますので、傾聴力を養ってほしいです。

狩野(同志社) 未知の現象を解き明かしたり、課題解決の糸口を見つけたりするA I・データサイエンスの活用は、結果、人に健康や幸せ、社会に安定や平和をもたらします。つまり、AI・データサイエンスの究極の目的がウェルビーイングに貢献することだと言えます。ひいては、AI・データサイエンスを学ぶことは人生をいかに生きるべきか、幸せとは何かという、答えのない問いに挑むことでもあります。その支えとなるのが、人類が積み重ねてきた文化、叡智への理解ではないでしょうか。

木村(AERA) AI・データサイエンスは、対「数字」だけではなく、人間を扱う学問でもあるわけですね。

狩野(同志社) さまざまな人とのコラボレーションが欠かせません。例えばスーパーマーケットの売り上げが落ちている問題を解決するとなると、店舗の売り場とお客さまのことをよく見て、働いている人からも話を聞かないといけません。人間関係を築き、信頼してもらい、情報を得て初めて、仕事ができます。

落合(NTTドコモ) 私にもコラボレーション力の重要性を実感した経験があります。スマホで人のストレス値を測る研究プロジェクトがあったとき、こちらには心理学や精神医学の知見がないので、医学部や心理学部の先生との共同研究となりました。相手と議論する場合は、私は専門の工学的な面から、相手は心理学の面から意見を出し合い、技術に落としていくことができました。

文理の融合が「幸せ」を導くカギ

イラスト

ウェルビーイングな社会に貢献するには

木村(AERA) AI・データサイエンスには総合的な力が必要であることがよくわかりました。大学ではどのような教育に力を入れていますか。

伊呂原(上智) 「データサイエンス概論」を全学部共通の1年次の必修科目としています。高校数学の知識がなくても学べるようになっているのが特徴です。2年次からはレベルアップしながら、データサイエンスを体系的に学べる全学部対象のプログラムも用意しています。授業や実習についていけなくなった場合などに、気軽に相談できる「データサイエンス・クリニック」を設けていますので、文系の学生も安心です。今は人生100年時代。人生の基盤を作る教育を提供し、ウェルビーイングな社会に資する人材の輩出を目指しています。

上智大学 pickup
1年生は全員受講! 手厚い支援体制[ データサイエンス概論 ]

社会のリーダーとなる上で不可欠な「データの分析結果を利活用できる能力」を育てるため、データサイエンスの全体像を把握する「データサイエンス概論」を全学部共通の1年次必修科目に設定。さらに、学習支援サービス「データサイエンス・クリニック」では、学びの悩みのほか、例えば課外活動でのデータ活用方法、関連資格の取得など、幅広い相談内容を受け付けている。

上智大学
企業から

▶「プレゼン失敗で不採用」は企業でもあり得る話。考えを言語化する力も備わる点が重要です。(NTTドコモ)

▶実際には数学の知識よりも方法論が重要な場面も。文理の壁なく挑める点がすごいです。(リクルート)

山本(京都) 本学のデータ科学イノベーション教育研究センターで提供しているデータサイエンス関連の科目は、文理問わず履修でき、学生自身の専門に落とし込めるようになっています。企業の協力も得て課題解決型の課外授業を開講して、解決の道筋までわかってもらうよう工夫しています。また、近畿地方のさまざまな大学とも連携し、データサイエンス教育について意見を交換しながら、データサイエンスのより良い教育を目指しています。

京都大学 pickup
近畿地方の連携・教育を牽引する[ データ科学イノベーション教育研究センター ]

国際高等教育院に設置され、文部科学省事業「数理・データサイエンス・ AI 教育の全国展開の推進」の拠点校・近畿ブロック代表校として活動。専門分野を問わず、学部・大学院でのデータサイエンスに関する科目の提供や、企業の協力による課外授業の開講、近畿地方のさまざまな大学や先生方との連携を通して、データサイエンス教育の普及と改善に取り組む。

企業から

▶学外で課題を発見し、企業の現場を見る経験は、社会に出た時のために有意義だと感じます。(NTTドコモ)

▶今後は地域性を生かしたコラボレーションや、地域への還元が重要。非常に共感しました。(リクルート)

庄司(武蔵) 人文社会科学におけるデータサイエンスを追求しています。社会学部では17年からグローバル・データサイエンスコースを、24年からは全学部においてデータサイエンス副専攻を設置し、全ての学生がデータサイエンスのリテラシーを養える仕組みを整えています。中学・高校を含む武蔵学園全体で取り組んでいることも強みであり、一般向けのセミナーも開いています。どのような社会を目指すのか、皆で考えたり、議論できたりする場を設けることで、ウェルビーイングに貢献できるのではないかと考えています。

武蔵大学 pickup
文理融合を実現する新たな試み[ データサイエンス副専攻 ]

2024年から全ての学部生が履修できるデータサイエンス副専攻を設置。データサイエンスで社会課題を分析・解決することができる人材育成を目的とした、全学的なデータリテラシー教育を推進している。また、高校・中学も含む学園全体の組織としてデータサイエンス研究所を設け、社会科学を視点の軸に据えたデータサイエンス教育に取り組んでいる。

武蔵大学
企業から

▶高校生も巻き込んでのデータサイエンス教育は先進的であり、今後が非常に楽しみです。(NTTドコモ)

▶政治や海外の動向など社会背景を理解しながら課題解決できる人材は非常に重要です。(リクルート)

狩野(同志社) 本学の文化情報学部は学部を開設した20年前から、文化をデータで分析する研究を行っています。それを社会に還元することで、文化を楽しみ、私たちの暮らしに生かすことを目的とした面白い学部です。その研究活動の土台として、全学部の学生を対象としたリテラシーレベルのデータサイエンス・AI教育プログラムを必修とし、より高度な応用基礎レベルの科目への架け橋としています。また、その成果を社会に実装することを目指し、探究型科目(リサーチ科目)を3、4年次の必修としています。

同志社大学 pickup
課題解決力の基礎を培う必修科目[ データサイエンス・AI教育プログラム「DDASH」 ]

文化情報学部では、2024年度からデータサイエンス・AI教育プログラム「DDASH-L」(リテラシーレベル)を必修化。また、学部専門科目の中にデータ科学系科目群を配置し、数理・統計・計算機科学の基盤的な知識に基づく、専門性の高い教育を実施している。さらに、3、4年次には学びの集大成として探究型科目(リサーチ科目)を配置し、データサイエンスの手法で課題解決ができる力を養成する。

同志社大学
企業から

▶「課題解決のためのデータサイエンス」というテーマは、社会の需要に非常に合致しています。(NTTドコモ)

▶数学の素養を持ち、探究活動のような中長期のタスクに取り組める人材は必要です。(リクルート)

AI・データサイエンスは幸せを創る楽しい学問

木村(AERA) 企業として、学生時代にどんな力を身につけてほしいですか。

竹迫(リクルート) 論文をまとめるためには、仮説と検証のサイクルを回す力や、調査などを行う中でのコミュニケーション力を必要とします。社会に出てからも、前提知識のない人に自分のやりたいことを理解してもらうために役立ちますので、論文を書く訓練を積んでほしいです。指示されたことよりも、自分で提案した仕事ができる方が楽しいと思います。

落合(NTTドコモ) 企業では、業務内容にもよりますが自身の専門分野以外の知識も必要となったり、異動で新しい知識が必要になったりします。そのため大学では、まず、いろいろな分野を自分で学んでいき、「新しいことの学び方」を学んでほしいですね。そして、AIやデータサイエンスはあくまでも手段なので、何が解決できるか、誰にとって、どんな幸せや嬉しいこと、メリットがあるのかを見いだせる目を養ってほしいと思います。

庄司(武蔵) AI・データサイエンスには、今後社会で働く上で不可欠という面や、課題解決という大きな使命を持っていますが、楽しい学問だということを最後に付け加えたいですね。物事を違う方向から見ると、こんなことがわかるのか!と気づくワクワクがある、ということを学生には感じてほしいと思います。

データサイエンティストの魅力
木村恵子の編集後記

AI・データサイエンスの活用が文化の保護から先端的なバーチャル機能まで、よりリアルで幅広いものになっていることを実感しました。倫理面などの課題がありながらも、この技術が一人ひとりの快適さや生きやすさにつながっていくことに、社会の希望が見えます。それを実現させる人材の育成に努める各大学の努力に期待しています。

AI・データサイエンスはこう学ぶ!

理工学分野から社会科学分野まで、文理を問わずさまざまな角度から学ぶことができる、
多彩なAI・データサイエンスの学びが展開されている。

※1 文部科学省による「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」。正規の課程の教育プログラムのうち、一定の要件を満たした優れたものを文部科学大臣が認定・選定する。「リテラシーレベル」では適切に理解し活用する基礎的な能力、「応用基礎レベル」では課題を解決するための実践的な能力を育成する。
※2 本コンテンツに記載されているサービス名、商品名は、各社の商標または登録商標です。

京都大学

1897年に日本で2番目の帝国大学として設立。研究型大学として10の学部、18の大学院を備える。自主性を重んじる「自由の学風」のもと、世界に誇る独創的な学術研究を推進している。

詳しくはこちら

統計入門

対象 全学部生

目的 研究や生活、社会・経済活動に欠かせない統計について、一連の過程(統計データの収集→チェック→集計→分析→結果の解釈)を理解した上で、統計データの発生、仮説検定といった統計の考え方を学ぶ。

文部科学省が定める「リテラシーレベル※1」のプログラム。授業では、統計分析ソフトを利用した演習を行う。二元分割表の独立性の検定と関連性の強さの推定を主な題材として、データの確認と要約、さまざまな確率分布と統計的検定の考え方、二元分割表のリスク比・オッズ比・リスク差、中心極限定理、区間推定、t分布、検定・推定と標本規模などを学ぶ。

データ科学群応用基礎プログラム

対象 全学部生(主に2年生以上)

目的 文部科学省「応用基礎レベル※1」に準拠し、初級から応用に進むために必要な基礎力を培うプログラム。データサイエンス基礎・データエンジニアリング基礎・AI 基礎をバランスよく学ぶ。

データ分析の基本と実際に大規模データ解析を行うための基礎的な技術、データの取得・整形、さまざまな可視化手法、「統計入門」よりも発展的なデータサイエンス・AIの学習の基礎、機械学習の基礎、データサイエンスを活用する手法(仮説検証、知識発見、原因究明、計画策定、判断支援、活動代替など)などを学んでいく。

データ科学概観

対象 大学院全研究科生

目的 大学院における研究に必要なデータ科学に関する手法を習得し、多様な研究に適応できる力を育む。さまざまな研究分野のデータ科学的手法についての知識、データ分析に必要な基礎的技術を習得する。

大学院からデータ科学を学ぶ学生が「リテラシーレベル」の復習から「応用基礎レベル」を学べるプログラム。さまざまな研究分野の教員が講師を務めるため、リレー講義では各分野のデータ科学的手法の現状と可能性について学ぶことができる。また、演習ではExcel・R言語・Python等※2を用いて、データ分析に必要な基礎的技術を習得する。

データサイエンス概論

対象 全学部生(1年生必修科目)

目的 「データ主導社会」や「超スマート社会」と呼ばれる現代社会での「気づき」を得るために、幅広いテーマを扱う導入科目。仕事や生活の中でのデータの利用例、活用方法、課題について理解を深める。

データが現代社会に与えるインパクトを理解し、その有用性だけでなく危険性についても考え、データを扱う上で必要な法律や倫理なども交えながら、理論と実践をバランスよく学ぶ。統計学・データマイニング・機械学習の手法も学ぶが、活用法の理解を目的としているため、高校数学を学んでいない、また、初めてデータ分野を学ぶ文系の学生も安心して受講できる。

データサイエンスプログラム

対象 全学部生

目的 数理・データサイエンス・AIの基本的な知識・技術や倫理といった基礎力、さらにそれを専門分野に繋げて実践できる高度な知識・技術等を備え、各分野を牽引するエキスパートになるための応用力を養う。

文部科学省の定める「リテラシーレベル」「応用基礎レベル」※1に相当するスタンダードコース、各専門分野での応用力を学ぶアドバンストコースの2コースを設置。学部での学びと並行して履修することで、自身の専門分野や希望するキャリアに合った力を養う。指定された科目群を習得すると修了認定証が発行され、就職活動での自己PRに活用することもできる。

上智大学

1913年設立。都心のワンキャンパスに理系を含む全学部が集う。英語による学位プログラムや多彩な留学プログラムの提供、国際機関やグローバル企業との協働など、特色あるグローバル教育を展開する。

詳しくはこちら

大学院 応用データサイエンス学位プログラム

対象 大学院学位取得を目指す方

目的 「理論と実務の架け橋」を掲げ、データサイエンスの理論を理解し、データ収集から応用まで実践できる力を習得。データ活用社会の課題を解決できる高度プロフェッショナル人材を養成する。

学術界と実業界の専門家が連携し、理論と実践を融合させたカリキュラムによって、データエンジニアリング、データアナリティクス、ビジネスサイエンスの領域を統合し、技術・リテラシー・倫理的課題を学ぶ。また、産業界で活躍するエキスパートを非常勤講師として迎え、実践的な学びができる環境を提供。2年次にはインターンシップ科目も開講している。

同志社大学

2005年開設。文化に関する情報の蓄積が社会問題の解決に重要であることを理解し、実践的にデータを利活用する「データサイエンス」の方法論に基づいて、新たな価値を創造する人物を養成する。

詳しくはこちら

統計学入門

対象 文化情報学部生(1年生)

目的 統計学の基盤となる知識を習得し、情報を活用する力を培うプログラム。データを観るための基本というべき方法論を身につけ、いくつかの現象の間の「関係」をデータから評価できるようになる。

「顧客満足度95%!」「水瓶座は宝くじが当たりやすい?」といった日常的なデータ(数的表現)を正しく観るための方法を学ぶ。授業では、記述統計の主要な手法である「要約」「視覚化」について、実例の分析を通して学習。また、「1変数データや2変数データの要約と視覚化」といった統計学の数理的な基礎となる確率と確率分布についても扱う。

DDASH

対象 全学部生、同志社内の高校生

目的 リテラシーから応用基礎、専門レベルまでのデータサイエンスを学習。実社会で目にするデータを適切に読み解き、使い方を判断できる水準の数理・データサイエンス・AIに関する能力を習得する。

社会の要請に応じた数理・データサイエンス・AI教育の推進への取り組みの一つとして、2022年度から新たにスタートしたプログラム。三つのプログラムで構成され、文部科学省の認定制度に準拠した「リテラシーレベル」「応用基礎レベル」※1、前者二つを含む体系的な学びから各学部の専門的な学習に繋げる「データサイエンス・AI副専攻」がある。

ジョイント・リサーチ

対象 文化情報学部生(3年生)

目的 1、2年次で身につけた文化現象の基礎知識とデータサイエンスのスキルをもとに、データから問題を発⾒したり、実験・調査・分析から意味のある知⾒や解決法を導き出したりすることができる力を身につける。

複数の異分野の教員が担当する探究型演習授業。⽂理融合的なテーマごとに編成されたクラスに分かれ、グループ単位で演習を行う。これまでに学んだ文化現象に関する知識やデータ科学のスキルを活用し、グループで議論や協力関係を築きながら問題を発見・解決する力を養う。仲間との協働で身につく他者視点は、3年次秋以降の研究活動にも有用な力となる。

データサイエンス基礎

対象 全学部生

目的 データサイエンスの基礎的な素養の習得のために、データ活用の利点と限界、活用事例の意義などを理解する。データサイエンス・AIと人間・社会との関わりや新たな課題について考え、行動できる人材を目指す。

データの活用において、不十分な結果や誤った結果をもたらさないために、どのようなデータを用い、どのような分析・活用を行うのかという適切な視点が重要となる。本講義では、オープンデータ、ビッグデータ、パーソナルデータなどの社会的な「データ活用」について、基本的な視点を広く身につけながら今後データサイエンスを学んでいく上での基礎を養う。

知とデータ

対象 全学部生

目的 知識やデータを巡るさまざまな議論を理解し、他者に説明できるようになること。また、関連する社会問題等について、自分なりの考えを持てるようになることを目的としている。

データを有効活用する社会を築くためには、さまざまな技術や社会制度などを組み合わせ、データを価値ある知識に変えていく必要がある。AIも同様に、優れたAIとは何か、社会のどこでどのように生かすのかを考察していく必要がある。本講義では、こうした関心や問題意識に立ちつつ、「知識・データ」と「社会」の関わりについて、多面的に学び、考える。

武蔵大学

日本初の私立7年制高等学校である旧制武蔵高等学校をルーツとし、1949年設立。「ゼミの武蔵」を掲げ、1年次からの少人数教育に注力し、さまざまな課題を解決できるグローバルリーダーの育成を目指す。

詳しくはこちら

データサイエンス応用

対象 全学部生

目的 広告会社のデータ活用事例を中心に、ビジネスにおけるデータ分析の視点や手法、それらがどのように応用されているか等を学ぶ。さらに課題設定、分析からプレゼンテーションまでの過程を経験する。

学術交流協定に基づき株式会社ADKマーケティング・ソリューションズが実際に使用している1万5000人規模の調査「生活者総合調査」のデータ提供を受け、分析に使用する。マーケティングにおけるSTP(Segmentation・Targeting・Positioning)という考え方を学び、実際に因子分析・クラスター分析の方法を用いたチーム演習を行う。

座談会をこう見た!

今回の座談会の内容を、第三者はどのように読む? 高校生と企業の人材採用担当者に感想を聞いた。

人材採用担当者の目

阿久澤まり

株式会社NTTドコモ

総務人事部 採用担当課長

阿久澤あくざわ まりさん

AIやデータサイエンスの知見を生かし
活躍できる機会はたくさんあります

AIやデータサイエンスの考え方を学ぶことで、課題解決や事業貢献できる機会は多くあると考えます。NTTドコモでは、AIやデータ活用は、あらゆる部署で取り入れています。文理問わず学べる機会のある学生時代に考え方を身につけておくと、将来、さまざまな分野で生かせる自身の強みの一つになると思います。学びの深さや広さはみな同じではなく、人それぞれで良いのです。みなさんの自分にあった学びを応援します。

高校生記者の目

「AI化」が進む現場でも
活躍できるスキルを身につけたい

捜真女学校高等学部 2年生福永愛莉さん

私は将来ラジオ関係の仕事に就きたいと思っています。しかし今、AIを活用したラジオ局が多く、いつかラジオ関係の仕事がAIによって必要なくなるのではないかと気になっています。そこでお話にもあった、専門を持ってAIの欠点を勉強することや、プレゼン力、社会問題の取捨選択力などを必要なスキルとして、社会に出るまであと数年の学生生活で学んでいけたらいいなと思いました!

AIの作る英文に感じていた不満
原因は情報の偏りか?

成田高等学校 2年生川村 葵さん

データサイエンスが健康やパーソナライズされた仕事にまで広まろうとしていて、全ての人にとって幸福な社会へ進むといいなと思いました。また最近、英検®の課程の変更に合わせてAIに英文を作成してもらい要約するということをしていますが、出力される英文が似たようなものばかりなのは与えられている情報が偏っているのかもしれません。もっとバラエティーに富んだものになるといいなと思いました。

同僚がロボットになる!?
将来の職場にワクワクします

東京都立豊島高等学校 3年生服部紀伽さん

AIには感情がない、人間の感情を理解できないというイメージが大きかったので、そんなAIが人間の幸せやウェルビーイングに貢献するために試行錯誤していると知り、心が和みました。働き手不足をAIロボットが補うという内容を読み、将来同僚がロボットという職場で働くのかもしれないと思うと、新鮮でワクワクします。

今や誰でも使えるAI
人々の生活や仕事を豊かにするもの

神戸龍谷高等学校 1年生竹内海翔さん

私はAIチャットを、国語の語句や専門用語の意味、文章の書き方、理数系科目の定理の解説を調べるなど、学習目的や疑問解決のためのアドバイスツールに使っています。AIは人の仕事、職業を奪うと言われていますが、医療や科学、教育、自分の知識の世界が豊かになるものではないかと思います。今や誰でも使えるAIは、人々の生活や仕事の満足度を高められる一つのツールだと改めて考えさせられました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。 このコンテンツは、公益財団法人日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。

イラスト

本企画にご協力いただいたみなさん

docomo

「あなたと世界を変えていく。」を掲げ、5Gインフラの拡大や社会・産業DXソリューションなど多様な事業を展開。研究開発では6G、AIやXR、ロボティクスなどの革新技術に取り組みウェルビーイングな社会の実現を目指す。

リクルート

リクルートグループは、テクノロジーの力で「働く」の進化をリードするグローバルテックカンパニー。その中において、株式会社リクルートは日本国内の人材・販促事業およびグローバル斡旋・販促事業を行う事業会社である。

AERAサポーター高校

AERAの企画に さまざまな形で協力をいただく高校の組織。2024年度からは参加校の高校生が記者となって取材・執筆に挑戦する「高校生記者」がスタートした。

詳しくはこちら >

高校生記者とは?

AERAサポーター高校の生徒のみなさんが、「AERA」の編集企画・広告企画に参加する試み。現在「AERA」で彼らが参加した記事が連載中!