ロシアのウクライナへの侵攻でわれわれが直面したエネルギーの問題。今まで以上に注目を集めているのが、水素エネルギーの利用である。
「企業が本格的に、基礎研究から社会実装に動き始めた感じがします」
そう話すのは、東京都立大学・水素エネルギー社会構築推進研究センター長の宍戸哲也教授だ。
同センターは、水素エネルギーを中心に持続可能な大都市を構築することを目的とし、水素を中心にエネルギーシステム全体を考えることで二酸化炭素の削減を目指している。
水素を用いて電気を生み出す燃料電池の開発や水素自体を燃焼させて動くエンジンの研究のほか、水素が環境にどう影響を与えるかなどを研究する。先の東京オリンピック・パラリンピックでは選手村で水素を利用して電気と温水を供給し、燃料電池を搭載したバスが交通インフラとして運行された。燃料電池バスは都内で現在90台が営業運行しているなど身の回りでもその利用が進められている。