っていうか、お年寄りなど引っかかったことにも気づかぬ人が大半なんじゃ? 恐ろしいほどのお金が人知れず動いているに違いない。そして私が何よりゾッとするのは、このような詐欺が白昼堂々まかり通っていることだ。名を語られた国税庁やら我らの守り神の警察やらがテーヘンダテーヘンダと必死に注意喚起している気配もない。イヤやってるのかもしれんが全然届いとらん。要するに騙される方がバカってコト? 我が国っていつの間にかそういうルールになってたの……?
せめてもの自衛手段として、詐欺メールが送られてきがちなショートメッセージサービス(SMS)を自動でブロックできるようにしようとしたら、そのためには月々金を払って携帯会社のアプリを導入せよとのことであった。いや……それって大きく言ってグル……? 何も信じられない世の中と自分が悲しい。
◎稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行
※AERA 2022年9月5日号