作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。5人目のゲスト、研究者で実業家の成田悠輔さんと仕事の話を掘り下げます。
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大宮:えっと、成田さんって、何してる人なんですか?(笑)
成田:大学の教員として授業もして、論文を書く研究者っぽいことをやりつつ、難しいソフトウェアを作ったりしてますが、趣味って感じで、別になにか大学から言われたり、大学を代表したりしてやってるわけでもないんで、よくわかんない自由業、みたいな感じなんですよ。
大宮:えー、よくわかんない(笑)。
成田:あと、日本でちっちゃい会社をやっていて、日本の大企業と共同で彼らが持っている社内データとか使って、彼らのビジネスを作り替えていくみたいな。
大宮:うーん、もうちょい!
成田:例えば、メルカリとかヤフオクに商品出すときに、いくらくらいで出すといいか、よくわからないですよね?
大宮:はい(笑)。すみません……。
成田:「値段のおすすめ機能」みたいなのがあるんですけど、そのソフトウェアを改造するみたいな。
大宮:ほう、最適化?
成田:そうです。過去にどれくらいの値段で出すと、どれくらいのタイミングでどれくらいの確率で売れたかというデータを使って、より適切な値段のおすすめの仕方を考える。
大宮:誤差を埋めていくってこと?
成田:そうですね。
大宮:意外と真面目ですね。
成田:結構まじめですよ。
大宮:もっと毒っぽいことしてるかと思った(笑)。地味で繊細だ。なんか、こうしたほうがきれいに整うのにって思うタイプです?
成田:究極的には人間が考えたり決めたりしなくても世の中が動いていくようにできないかって。例えば政治とか政府見てても、おっさんたちが集まってガヤガヤしながら決めてる。あれが全部無駄じゃないかなという思いがあって。偉いおっさんたちがいなくても動いていくような社会にできたらなと。長い目でみると、そういう思いがあるんですよ。