「いつの時代も、私たちにはユーミンがいた」デビュー50周年を迎えたいまなお聴く人の心をとらえて離さない唯一無二の存在、松任谷由実さん。愛しの人を前に作家・林真理子さんの気持ちも弾みます。
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林:文化功労者受賞、そしてデビュー50周年おめでとうございます。皇后さま、すごく喜ばれたそうですね。
松任谷:なんか私の曲をお聴きくださっているようで。天皇陛下も「たくさん曲がおありですね。『卒業写真』とか」と言ってくださったので、たぶん「卒業写真」だけじゃなくて、いろいろ聴いてくださってるのかなという感じがしました。
林:実は私、去年デビュー40周年で、ちょうど10年違うの。
松任谷:えっ、そんなに違うと思わなかった。
林:私が日大の芸術学部に行ってたころ、ユーミンはもう女の子たちが騒いでた。今回はデビュー50周年ということですごいブームというか。ずっと第一線にいるから、ブームという言葉は違うかも。
松任谷:でもね、数えると第6次ブームぐらい。
林:私はブームっていうより、「ユーミン祭り」という感じがする。雑誌は特集を組むし……。
松任谷:もうありがたいやら何やら。雑誌はマガジンハウスの二つだけ。「an・an」と「BRUTUS」にしぼったの。
林:テレビもラジオも特集を組むし、集大成のCD(「ユーミン万歳!」)も出るし、広告もすごいし、本(『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』山内マリコ)も出るし、さすがって感じ。ユーミンっていうと、飯倉の「キャンティ」とかキラキラしたイメージだったのに、あの本を読むと、お手伝いさんの故郷のド田舎に連れてってもらったところから始まって……。
松任谷:山形にね。
林:そして八王子の歴史とか、八王子の老舗「荒井呉服店」のお嬢さまと比較するような感じでそこに働きに来てる女性たちが出てきて、こんなふうにユーミンをあぶり出したのは、初めての試みじゃないかと思った。