■新たな「感動」を
コロナ禍を機に、人と人を結びつけるエンタテインメントの社会的意義が再認識された。
「人は本来、エンタテインメントを求める。だからコロナ禍においても、エンタテインメントを楽しむための努力が続けられたのだと思う」と小寺はいう。
ソニーは、テクノロジーとエンタテインメントでどんな未来をつくろうとしているのか。たとえば、メタバースにおいては、ゲーム、スポーツ、音楽の領域で新たな「感動体験」の提供を目指す。
また、モビリティでは、顧客に車を渡した後もエンタテインメント機能がアップデートされる新たな移動空間を創造しようとしている。今後拡大が予想されるサブスクリプション(継続購入)ビジネスにおいては、データ活用が成否のカギを握る。
ソニーグループがDX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル変革)を実現することによって、クリエイティビティを軸に多様な事業がつながり、これまでにない「感動」が生み出されようとしている。
「私も人とつながりながら仕事をしてきました。ソニーには、面白い人がたくさんいる。だからソニーにいたいと思う。そういう人たちと議論ができるのは、ものすごくエキサイティングです」
ソニーはいま、グループの各事業会社に加え、さまざまな分野のクリエイターや戦略的パートナーとのつながりを強めようとしている。DXの実現は、彼らの力を引き出すことになるだろう。(文中敬称略、完)(ジャーナリスト・片山修)
※AERA 2023年1月23日号より抜粋