小寺剛(こでら・つよし)/1969年生まれ。92年ソニー入社。米国ソニー・エレクトロニクスを経て、ソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルプレジデント、ソニー・インタラクティブエンタテインメント社長兼CEOなどを歴任。現在、ソニーグループ常務CDO(撮影/写真映像部・東川哲也)
小寺剛(こでら・つよし)/1969年生まれ。92年ソニー入社。米国ソニー・エレクトロニクスを経て、ソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルプレジデント、ソニー・インタラクティブエンタテインメント社長兼CEOなどを歴任。現在、ソニーグループ常務CDO(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 ソニーグループが営業利益1兆2023億円(2022年3月期決算)をたたき出した。営業利益1兆円超えは国内製造業ではトヨタ自動車に次ぐ2社目だ。家電の不振から復活した原動力は、そこで働く「ソニーな人たち」だ。

 短期集中連載の最終回は、ソニーグループ常務CDO(最高デジタル責任者)を務める小寺剛(53)さんだ。巨大データの重要性が増すなか、日本企業のデジタル変革は周回遅れに甘んじている。「10億人」のユーザーとつながる壮大なビジョンを掲げ、逆襲を図るソニー。小寺さんが語るソニーならではの強みとは──。(前後編の後編)

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 大手IT企業が提供するサービス利用者数は、アルファベット(グーグル検索)の40億人を筆頭に、メタ(フェイスブック)30億人弱、テンセント(ウィーチャット)10億人弱といわれる。「10億人」をビジョンに掲げるとはいえ、ソニーとの差は大きい。

 ただし、私はかねてから、GAFAに勝てるのはソニーだけだと思ってきた。ソニーには、GAFAにないハードウェアがある。加えて、世界有数のエンタメ企業だ。そう話を向けると、「GAFAとは真っ向勝負ではないですね」という言葉が、小寺から返ってきた。GAFAとは顧客とのつながり方が違うというのだ。

「私たちがやろうとしているのは、コミュニティ・オブ・インタレストです。ソニーならではのポートフォリオを生かして、人とつながっていきたい」

 ソニーは、多様なポートフォリオを有するため、ユーザーに多面的に関わることができる。また、感動のつくり手であるクリエイターにも軸足を置く。コンテンツに関する知的財産をともに創造することで、クリエイターにとっても魅力的な企業を目指す。

「ソニーの強みは、『人に近づく』をアンカーに各事業がつながっているところです」

 と、小寺はいう。

 データからは、ユーザーの行動が見えてくる。ゲームでいえば、そのゲーム内に登場するアイテムをどのように使ってコンプリートしているか、途中で離脱してしまっているかがわかる。ユーザーに近づけば、興味のあるタイトルやサービスを知り、プロモーションなどにも活用できる。ソニーは、単品売り切りのモデルからリカーリング(継続課金)ビジネスへと舵を切ったが、データの利活用は、顧客との継続的な関係性の構築と同時に、安定的な収益の確保につながる。

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