林:ええ。

和田:いまのお年寄りは、ただただ長生きするよりも、元気で長生きしたいんですが、医者が言ってることを聞いていても、あんまり元気で長生きできない。たとえば、血圧や血糖値でも、だんだん年とってくると血管が厚くなっちゃうんで、むしろちょっと高めのほうが頭がシャキッとするんですね。

林:先生、血圧200ぐらいなんですって?

和田:僕、200を超えたのに放っといて、それで心肥大になっちゃったんです。血圧が高いと心臓のポンプが激しく動いてるから、心臓の筋肉が厚くなっちゃうんですね。それで正常値の140まで一回下げたら、体がだるくてしょうがないので、いま170ぐらいにコントロールしてるんです。

林:でも、テレビは「130を超えたら」とか言うじゃないですか。

和田:世界基準はそうなってきてるんですよ。でも、僕は高齢者を診てて、血圧はそんなに下げなくてもいいんじゃないかと思ってるんです。

林:ほんとにそうなんですか?

和田:昔は死因のトップが脳卒中で、そのころは確かに血圧が140や150の人の血管が破れてたんです。ところが、いまはクモ膜下出血でもない限り脳内出血はほとんどないんですよ。昔の人は良質なタンパク質をとってなかったから血管が破れやすかった。いまの人はちゃんととってるから、昔と比べると、血管が破れる可能性は低いんです。確かに動脈硬化は進んじゃうかもしれないんだけど、これだって年をとるとみんなあるもので、昔ほど血圧に関してナーバスになる必要はないと思っています。

林:先生は前から「車の免許証も返納する必要はない。若い人は老人の何倍も事故を起こしてるのに、たまに老人が事故を起こすと、なぜそんなに騒ぐんだ」とおっしゃってますよね。

和田:日本は車の死亡事故がすごく減って、「交通戦争」と言われたころは年間1万6千人を超える交通事故死があったのに、去年なんか2600人ぐらいなんです。それから、75歳以上のドライバーは、死亡事故の4割が単独事故なんですよ。

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