「大学出身のお笑い芸人には、若い段階で事務所に縛られないという強みがあると思います。事務所に所属する芸人の中には、その事務所のカラーと合わず、伸び悩む人もいます。移籍することで個性が花開く人もいますが、高校卒業の時点で自分がどの事務所に合うかわかる人は少ない。また養成所では、お笑い作家の指導でネタを一から作り直すといったこともあり、芸人によっては自信を失ってしまうこともあります。そう考えると、自分の個性と合わないところに入って自信をなくし個性を失ってしまうよりは、大学お笑いの世界で個性を伸ばしたほうがいい場合もある。いろいろな事務所に行った先輩たちから助言を受けて養成所選びにつなげることもできると思います」
場数を踏めることも大きい。養成所にいると、人前に出るチャンスは事務所主催のライブなどに限られる。しかし「大学お笑いなら、各サークル主催のライブなど月に何回も出演できます。事務所の養成所に入るよりも、ライブ経験を多く積むことができるんです」とふたつぎさんは話す。
■同時並行で複数のコンビを組み、芸風を試す
また、お笑いサークルのなかでは、相方の組み替えが頻繁に起きたり、複数のコンビに同時に所属したりすることも珍しくないという。
「一つのコンビだけでなく、同時並行でいろいろな人とコンビを組み、いろいろな大会に出る人もいます。大学ならではの自由な時間があるからこそ、とにかくいろいろなタイプのネタを試し、どんな芸風でどんな人と一緒にやっていくのがよいのかを探り、自分に合った道を進んでいけるのではないかと思います」(ふたつぎさん、以下同)
そんなお笑いサークルができ始めたのは、ここ15~20年ほどのことだという。有名大のお笑いサークルと、そこが生み出した代表的な有名人を見てみよう。
- 明治大「木曜会Z」=おるたな(YouTuber、登録者数約240万人)
- 青山学院大「ナショグルお笑い愛好会」=水溜りボンド(同、同約400万人)
- 上智大「SCS」=ラランド(お笑いコンビ)
- 慶應義塾大「お笑い道場O-keis(オーケイズ)」=令和ロマン(同)
- 法政大「HOS」=マヂカルラブリー・村上(お笑い芸人)