1986年「東京壱組」を経て、映画、ドラマへと活躍の場を広げる俳優・余貴美子さん。革ジャンに光沢のパンツが似合い、65歳とは思えないほどの若々しさ。その秘訣は?
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現在65歳の余さんは、年齢を重ねていくことも、“老い”ではなく“変化”と捉えている。
「人間、年をとれば、変わっていくことは当然のことでしょう? シワが増えるのだってしょうがないですよね。私が昔から心がけているのは、“心のリフトアップ”です。なるべく、いろんなことに興味を持って、学習して、一つでも多くのことを知っていく。知らないことを知ることが、元気になることにつながるんです。それに、私たち俳優は、自分よりずっと年上の人も、年下の人も演じなければならない分、エイジングをデザインする仕事でもあると思っています」
余さん流“心のリフトアップ”に貢献しているのが、毎日の津軽三味線と能の稽古だそう。
「日本の古典芸能が好きですね。たくさんの学びがありますし、何より、やっていて楽しいんです」
どんなに忙しくても、毎朝必ず、それぞれ30分の稽古は欠かさない。
「能と仕舞のお稽古は、自宅の地下に、ちょっとした稽古場があるので、そこで毎日大声で練習しています。お稽古にも通っていて、そこでは勉強することもたくさん。謡本には、訳のわからない日本語がたくさん並んでいて、まず、その字が読めない(笑)。でも、知らなかったことがだんだん知識として身についてくると、心が元気になっていくのがわかるんです」
三味線に興味を持ったのも芝居の役がきっかけだった。
「一時期は、沖縄の三線にハマりまして、今は津軽三味線(笑)。人前で披露できるようなものではないのですが、楽器は、演奏するだけでシンプルに楽しいのでお勧めです。お能も、何百年も続いている芸能だからこそ、身体の使い方に『なるほど!』と膝を打つような理屈があって。面(おもて)をかけているから、体幹をまっすぐにしないと足を運べない。まっすぐに歩く練習をするだけで、体幹が鍛えられる。能楽師には長生きしている方が多いので、私もそれにあやかって長生きしたいなと思っています(笑)」